中国市場・業界・企業・消費の「いま」を徹底調査&分析
「キャスト中国ビジネス」中国マーケティングEC会員コース
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2018年12月26日 毎週水曜日配信・無料
【キャスト中国市場インサイトメルマガ 第350号】
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こんにちは。キャストの大亀です。
2018年も残りわずかとなりました。毎年この時期になると思うのが、本当に年々時が経つのが早くなっているなと。つい先日新年が明けた感じがしますが…。「光陰矢のごとし」ですね。
11年末に始めたこのメルマガも丸7年、350号を迎えました。折しも12年秋の反日騒動を機とした日中関係の“最悪期”とタイミングを同じくし、日本企業にもう少し中国を見るよう訴えかけるような形になっていました。しかしようやく18年に入り、両国関係が目に見えるように改善化されるに伴い、日本からの問い合わせや来客も増えています。
このメルマガで何度も触れている「失われた5年」。ちょうど上記のタイミングが、まさに中国消費が飛躍的にアップグレードされた5年でもありました。まだ挽回できる年数かもしれませんが、実際には5年どころかもっと差がつけられた分野もあります。まさにこれ以上は「待ったなし」の状況です。
私事ながら、業務を中国マーケティングに完全に特化して10年となりました。来年からは心機一転、“第二創業”の気持ちで、様々な事にチャレンジしていくつもりです。ウェブサイトもリニューアル中で、東京を中心に毎月1週間は日本に滞在・活動する予定です。
今年1年間、このメルマガをご愛読いただき、ありがとうございました。来年もまた引き続き何卒よろしくお願い申し上げます。
次回のメルマガは1月9日を予定しております。では皆様、よいお年を!
今週のコラムは2018年の中国消費を振り返ってについてです。では、中国市場インサイトメルマガ第350号をお送りいたします。
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【目次】
1. コラム「大亀浩介の中国Bizコンサルタントの眼」(第350回)
~中国の消費現場は日本の未来?~
2. 新着コンテンツ一覧
3. お知らせ
会報誌「チャイナ・マーケット・インサイト」2018年10月号(vol.58)発行
(詳細)http://www.cast-marketing.com/index.php?Mod=Periodical
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コラム
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「大亀浩介の中国Bizコンサルタントの眼」(第350回)
~中国の消費現場は日本の未来?~
2018年最後のメルマガコラムとなりました。皆様にとって、今年はどんな1年だったでしょうか?
中国ビジネスで今年一番のトピックスは、やはり米中間の貿易摩擦でしょう。直接的には関係なくても、日本のニュース等でここまで話題になると、どうしても自分への影響を考えてしまいます。実際に中国での肌感覚としても、この影響はじわじわと広がっており、景気の減速感を感じざるをえません。
17年に新興のアプリやビジネスが続々と登場したシェアリングエコノミーも、今年は若干影を潜めた感が否めません。特に顕著なのがシェア自転車。街中の歩道を埋め尽くすほど並べられた色とりどりの自転車が、今年に入りめっきり減りました。適量に整理されたとも言えますが、逆に使いたい時に探さないといけないような状況にもなりました。
同じく17年に様々な場面でもてはやされた「消費昇級(アップグレード)」。少々高くてもよりよいモノを求める消費トレンドですが、今年に入り「消費降級(ダウングレード)」が話題に。所有からシェアへの移行、網易厳選など「ノンブランド」人気の高まり、さらには格安品のグループ購入サイト「拼多多(ピンドウドウ)」の普及が、そうした「降級」トレンドを後押ししました。
こうして見てくると、中国消費が悲観的に思えてしまいますが、実際はまだまだ拡大が続いているのも事実。普段の生活では目に見えない形、つまりスマートフォン(スマホ)の中でますます消費が活発化しているとも言えるでしょう。
最近中国では「砕片化消費」という言葉がよく使われています。スマホで“いつでもどこでも”買えるようになったことから、時間や場所の制約を受けない消費の「断片化」が進みました。また「嬾人(ナマケモノ)経済」とも言われ、ネットスーパーや出前を駆使しして家から一歩も出ない(ひきこもる)ライフスタイルも取り沙汰されています。
さらに若者を中心に「一人(お一人様)経済」という風潮も散見されます。食事や映画、旅行などを1人で楽しむ。他人との交流に煩わしさを感じる人達が、1人で自由気ままに時を過ごすといった風潮でしょうか。しかしその一方で、ペットの「家族化」が広まり、ペット人口も増加、関連商品やサービスの拡大も無視できません。
「里子消費」という言葉もあります。日本の「里子」の意味ではなく、「内面」というニュアンスでしょうか。「面子(メンツ)」と対にして使われているようで、これまで高級ブランド品などで社会的ステータスを誇示してきた中国消費も、若者を中心に、自分の好きで満足できるモノだけを買うという“理性的”な消費スタイルとも言えるでしょう。
最後に忘れてならないのが消費の「数字(デジタル)化」です。もはや現金すら持ち歩かなくなった中国での生活。スマホ決済が当たり前となった今、すべての消費がデータとして吸い上げられています。これまでの購入履歴から「リコメンド」されるのは当然の如くで、レストランでも注文から支払いまですべてスマホで完結するまでになりました。こうした豊富なビッグデータをベースに「データ・ドリブン」マーケティングが思う存分に実験・実践できる中国。ますます競合相手としては手強くなっていきそうです。
1年前に中国に赴任されたクライアント。赴任前の10年間、日本でみっちりとマーケティングを担当したので、その経験を活かしながらと思ってきたら、何と中国は「日本の10年先を行っていた」と。このコメントが今の中国消費を最も表していると思いながら、今年のメルマガを締めたいと思います。
今年1年間、メルマガをご愛読いただき、ありがとうございました。来年も引き続き、何卒よろしくお願い申し上げます。
皆様、よいお年を!
文責:コンサルタント 大亀浩介
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新着コンテンツ一覧
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◆“無印良品”風の「ノンブランド」が中国で大人気 (14)
~グループ傘下の商業施設と強力タッグ
淘宝心選のもう1つの特色は、オフラインの流通チャネルも積極的に活用していることだ。オフライン店舗でもオンライン同様に、ビッグデータ解析に基づいて開発した商品のほか、周辺地区の客層に合わせた体験(コト)型販売にも重点を置いている。すべてのオフライン店舗で、周辺の顧客層のニーズに合わせて商品の選択と販売を行っている......
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◆“無印良品”風の「ノンブランド」が中国で大人気 (13)
~ビッグデータ解析から商品開発・企画を提案
消費者のビッグデータ分析により、淘宝心選は多くの“網紅(ワンホン)”(※ネットで話題・人気の)商品を生み出してきた。その代表格が「珪藻土バスマット」だ。淘宝心選はビッグデータの商品選択機能を利用し、生産工場に商品のデザインから製造、そして価格など各工程の改善策を提案した。こうした消費者ニーズに基づくアドバイスを反映して生産された珪藻土バスマットは、見事に爆発的な人気を得るに至った......
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◆“無印良品”風の「ノンブランド」が中国で大人気 (12)
~【淘宝心選】強大なユーザー層と知名度で一気にトップの座を伺う
「淘宝心選」は、淘宝(タオバオ)自営の厳選型ECブランド。いわば、淘宝版の無印良品といったところだ。網易厳選にも類似し、ノンブランドの厳選された商品を扱っている。商品は各種家庭用品、生活雑貨、文具、旅行用品など。他の厳選型サイト同様、シンプルでセンスの良いデザインを特徴とし、コストパフォーマンスが高い。淘宝心選は2017年5月末に、淘宝サイト上で運営をスタート......
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◆“無印良品”風の「ノンブランド」が中国で大人気 (11)
~南京に小米有品のリアル店舗を開設
自社生産のスマホやテレビからスタートした小米だが、生態系企業による空気清浄機からセグウェイのような電動立ち乗り2輪車までジャンルを拡大。さらに新たなプラットフォームを開設して、第三者企業による家庭用品にまで触手を伸ばすなど、運営モデルをより“軽くて幅広い”ものにしつつある......
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お知らせ
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1)会報誌「チャイナ・マーケット・インサイト」2018年10月号(vol.58)発行
会報誌2018年10月号(vol.58)は、急成長する中国コーヒー市場にスポットライトを当てました。
上海に初めて移り住み始めた2004年ごろには、まだ市内にも数えるくらいしかなかったカフェ。「中国は茶文化の世界だからコーヒーなんて…」と言われていた当時から10数年経った今、まさかここまで中国全土にカフェが広がり、かつ中国の人たちが日頃からコーヒーを楽しむようになるとは想像できませんでした。
グルメ生活関連クチコミアプリの「美団点評」研究院が公表した飲料業界の報告によると、16年に中国のカフェ数は10万店を突破したとのこと。そのうち、店舗数で中国カフェチェーンのトップに君臨するのが、米スターバックスコーヒーです。1999年に北京で第一号店をオープンして以来、19年間で中国141都市、3300店近くを運営しています。
市場シェアでも、ユーロモニターと中商産業研究所が共同で発表した「2017年中国カフェチェーン市場シェアランキング」で、スターバックスが51%と堂々のトップ。2位以下の台湾系上島珈琲(12.8%)、マックカフェ(6.2%)、英コスタコーヒー(5.7%)を圧倒しています。
スターバックスは2018年5月に中国で開催された投資者向け会議で、今後5年間に中国で毎年600店以上をオープン。22年末までに店舗数を230都市6000店にまで増やすと宣言。もはや「向かうところ敵なし」の様相で、トップの座を盤石にする計画を華々しく発表したかと思った矢先、同年第2四半期の財務報告で、中国及びアジア太平洋地区のオペレーション利益が7.6%減、同一店舗の業績も前年比平均2%程度減だったとのこと。中国進出以来19年間で初の利益減となりました。
この利益減の背景として、景気減速による消費者の節約志向や他チェーン店との競争激化、コンビニコーヒーの普及など挙げられますが、一番の原因は「新小売(新しい小売)」カフェの台頭でしょう。
新小売とは、16年にアリババ会長のジャック・マー(馬雲)氏が提唱。ネットとリアルの垣根をなくし、ビッグデータと物流を高度に融合させるオムニチャネル概念のことですが、まさにこのコンセプトを体現させた新しいタイプのカフェチェーンが、今、怒涛の勢いで一気に勢力を拡大しています。
スマートフォン(スマホ)のアプリから注文、決済を終えると、後は配送されるのを待つのみという至ってシンプルなモデル。もちろんお店に行ってピックアップすることも可能なのですが、そこでゆっくりと友達や同僚とおしゃべりしながらコーヒーを楽しむための席はほとんど用意されていません。つまり、近年中国で普及する「餓了麼」や「美団外売」などネット出前(フードデリバリー)に特化したカフェ形態が、今やスターバックスを脅かす存在にまでなっているのです。
その代表格が「ラッキンコーヒー(Luckin Coffee・瑞幸咖啡)」。2018年1月にテスト営業を開始、その後5月8日に正式オープン。現在、北京、上海、広州、西安、青島など全国21都市に1400店あまりを展開、瞬く間に中国国内第2位のカフェチェーンに成長しました。
エレベーターやチャットアプリの微信(ウィーチャット)内で大量の広告を流し、一気に知名度をアップ。一杯目無料のキャンペーンで、まずはお試しをさせながら、その後ひっきりなしに割引のクーポンがショートメッセージに届きます。「2杯買えば、もう1杯無料」、「5杯買えば、もう5杯無料」など同僚を集めて買うといったニーズも見事に掘り起こしています。
厳選したコーヒー豆のほか、WBC(世界バリスタ選手権)の優勝者を監修役として招聘。コーヒーマシンやミルクなども欧米のトップブランドを採用するなど、昨今のより良いモノを求める「消費昇級(アップグレード)」トレンドも強く意識。さらにはアプリ上で、コーヒーの制作過程や調理場の衛生状況をボタン一つで「ライブ中継」させるほどの徹底ぶり。
合理的な価格、コストパフォーマンス、スターバックスにも劣らぬ品質で、多くの消費者層の心を掴むことに成功したラッキンコーヒー。同社の統計によると、オープンから3ヶ月以上を経た店舗でのリピート率は80%超とのことで、まさにスターバックスも「寝耳に水」状態だったでしょう。
そうした中、スターバックスは18年8月にアリババとの戦略提携を発表。アリババ傘下のネット出前プラットフォーム「餓了麽」を活用したネット出前サービス「専星送」をスタート。世界初の試みとなったスターバックスのネット出前サービスは、同年9月に北京と上海の主要エリアからスタート。その後、広州、深圳、成都、杭州、天津、南京、武漢、寧波、蘇州の9都市にも進出済み。18年末には、全国30都市2000店以上で、ネット出前サービスの提供を実現させる予定とのこと。
スターバックスのほか、コスタ、マックカフェ、香港系パシフィックコーヒー(太平洋珈琲)など大手カフェチェーンも続々と、この「ネット出前」市場に参入。新興のネット出前専門カフェチェーンも多く誕生し、まさに「群雄割拠」の時代を迎えようとしています。
サードウェーブコーヒーブームを牽引している米ブルーボトルコーヒーも、中国はまだ未進出ながら、微信(ウィーチャット)の朋友圏(モーメンツ)では、日本やアメリカで同店を訪れた消費者が写真を多数アップしており、知名度はうなぎのぼり。上海に進出した米ピーツコーヒー(Peet’s Coffee)や最近人気の上海発高級コーヒーブランド「Seesaw」など個性的なカフェも、SNS(社交サイト)上で高い人気を誇っています。
このように、今後もさらなる急成長が見込める中国コーヒー市場について、巻頭特集で市場全般を、トレンドウォッチではコーヒー出前(デリバリー)市場を、そして企業研究でラッキンコーヒーをそれぞれ取り上げました。18年8月に上海に初上陸した我が日本のドトールコーヒーですが、果たして勝機はいかに。同社はじめ、日本の飲食業全般にとって参考となるよう、調査・分析しました。
このほかに、都市研究として中国主要都市の「商業魅力ランキング」を紹介。中国で特定の都市を話題にする際、その経済発展力や位置づけを「級」によりランク付けします。例えば上海は一線級都市であり、福建省の厦門(アモイ)は二線級都市のようにです。
実は、この級によるランク付けは正式な基準があるわけではありません。一線級都市の北京、上海、広州、深センは揺るぎないのですが、それ以降の二線級、三線級、四線級となると、どんな基準が適用されているのか曖昧です。
そうした中、2013年から中国経済専門メディア大手の第一財経の新一線都市研究所が公表している「中国都市商業魅力ランキング」は、最も権威あるランク付けの基準として注目に値します。よって、今号ではこの最新のランキングについて詳しく説明しています。
特に注目なのが、二線級の中でも特に際立った実力を兼ね備え、一線級にもほぼ匹敵するほどの魅力を持つ「新一線級」の15都市について。今回はトップから成都、杭州、重慶、武漢、蘇州、西安、天津、南京、鄭州、長沙、瀋陽、青島、寧波、東莞、そして無錫の順。大連が21位で新一線級都市リストから外れるなど、中国の都市像もこれまでとは違った見方をする必要がありそうです。
そのほか、以下のとおり、中国マーケティングやECに関する情報が盛りだくさんです。
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ニュースレター冊子『チャイナ・マーケット・インサイト』
2018年10月号(vol.58) もくじ
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【巻頭特集】
『地方都市まで広がる中国コーヒー市場』
ネット出前コーヒー店がスタバの脅威に
【トレンドウォッチ】
『中国コーヒーデリバリー、新旧チェーンが争奪』
コーヒーにもネット出前旋風?
【企業研究】
『驚異的スピードで店舗網を拡大「ラッキンコーヒー」』
18年中国消費シーンの新星現る
【都市研究】
『“新一線級”トップは消費の都「成都」』
中国都市商業魅力ランキング発表
【都市別調査】
茶館と網紅のマジック ~その③
『シルバーライフと若者消費に手がかり』
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