尖閣諸島の国有化に伴い、中国各地で反日デモが行われ、場所によっては、日系デパートや自動車販売店が破壊や略奪行為により相当額の被害が生じています。今回の反日感情は上海に8年間住む身としても明らかにこれまでのものとは違うと肌身にひしひしと感じています。ちょうど2005年に起きた上海での反日デモ行進のときも上海にいましたが、そのときは騒動が終わり次第すぐに収束したのですが、今回は長々と尾を引きそうです。
上海では普段の生活をするうえで、私の身の回りでも何らかの被害に遭ったという声は聞こえていませんが、何ともいえない緊張感のなかで生活しているのは事実です。娘との会話は普段は日本語ですが、家の外に出たら中国語でするようにしていますし、街頭やタクシーの中で日本語で電話に出ることを躊躇するほどです。
先週末、都市別市場レポートの取材を兼ねて無錫に行ってきましたが、上海では若干無防備になりがちな気持ちも、ピシッと引き締められるような雰囲気がありました。繁華街のひとつであるヤオハン(八百伴)の向かいにある大画面スクリーンでは「釣魚島(尖閣諸島)は中国固有の領土だ!日本は出て行け!」とでかでかと表示されていました。古い建物を改装したレストランやバーが集まるお洒落なストリートの「南長街」でも、日本食レストランの前に大きく中国の国旗が掲げられたり、あるバーの前では「中国本土に草が一本も生えなくなっても釣魚島は堅守する!」という垂れ幕もかかっていました。
無錫の街中を歩いていても、ショッピングセンター内で「釣魚島は中国のものよ!」と声を荒げた会話や、南長街では「くそ日本人が!」といった声が耳に入りました。日曜日の朝には、今回の宿泊先のそばにある太湖広場に入る道が封鎖され、多くの警察官が通行人に目を光らせており、異様な雰囲気を醸し出していました。
一方で今回の騒動に対して冷静に見ている中国人がいるのも事実で、一緒に食事をした上海の地元IT企業の方々も、これだけ経済のグローバル化が進んだなか、いまや日本ブランドがついていても実際には中国で作っているものばかり。それを破壊するのはいかがなものかと話していました。また無錫で入った重慶火鍋のお店でも、なぜか日本の歌が店内で流れており、これは一体?という複雑かつ不思議な感じでした。
一部の過激で法外な行動に対して異を唱える中国人も数多くいます。今回の騒動に対して、厳重に注意をしながらも、冷静に対処し、こういうときだからこそ地道にコツコツと中国事業に取り組むことが大事だと改めて思いました。
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