中国消費洞察オンライン〜中国ビジネスをマーケティング視点から再構築!
【第526回】 中国で嗜好品の消費比率がますます上昇

中国の家電販売はネットが50%超に

2022年6月29日更新

中国の家電販売は半分以上がネットに(写真:南京の「小米之家」)
 中国の消費トレンドを語る上で、度々話題にのぼる「消費昇級」。中国の消費者がより良いモノやサービスを求めて消費をアップグレードさせる、またそのためには少々値段が高くても構わないといった風潮のことです。これは大都市の若者に限った風潮ではなく、今や老若男女問わず、また地方や農村地区含めて、中国全土隅々にまで広がっています。

 こうした風潮を背景に、人々の消費に占める嗜好品の割合が徐々に上昇しています。ここでいう嗜好品とは、「栄養を取るためではなく、食感や味、香りなどを楽しむことを目的としたもの」のことで、簡潔に言い換えると「なくても生活に困らないもの」と言えるでしょう。一般的にはお茶やコーヒー、お酒など飲食物を指しますが、タバコや自動車なども含む場合もあります。

 アリババ系調査会社の阿里研究院が発表した「2020中国消費品牌発展報告」によると、一般家庭の消費支出に対して、必需品である食品の割合は、2000年の38%から2019年には28%へと減少し、さらに2030年には18%まで低下すると予想しています。一方、交通通信や娯楽などの嗜好品は同じく2000年の27%から、2030年には44%にまで上昇すると見込んでいます。

 販売チャネルにつきましては、オンライン(ネット)の割合が年々上昇しています。社会消費品小売総額(小売全体)に占めるネット通販の割合は、2015年の10.8%から2019年には20.7%に上昇。2020年には新型コロナの感染拡大により、消費はさらにオンラインへの移行が加速し、24.9%にまで上昇しています。

 オンラインチャネルは、今後もますます成長していきそうです。2000年以降生まれの「00後」世代の若者が、消費の主力層として存在感を示しはじめると同時に、新型コロナの流行により、シニア層や農村でのネット利用を加速させました。ライブコマースなどの新しい販売チャネルの登場も、この流れを増長しています。

 一方、ジャンルによっては、ネット通販の浸透度合いに大きな差が存在しています。

 例えば、商品のスタンダード化が顕著で、ネットのほうがリアルよりも割安で、かつ購入頻度の低いジャンルは、すでにネットがメインになっています。その代表例が家電です。大型家電含め、オンライン比率が全体の50%を超えていると言われており、現在も上昇し続けています。

 逆に、商品のスタンダード化が難しい、つまりデザインや機能など多様なニーズに対応する必要があり、かつ購入頻度が高く、利便性も高いジャンルでも、ネットの比率が上昇中です。アパレルが代表例ですが、ネット比率が30%を超えているブランドがほとんどで、高級ブランド品などもネットでの販売が急増しているようです。

 サービスや体験(コト)が重視されるジャンルでは、依然としてオフラインでの消費が主流です。生鮮食品や家具、コレクターグッズなどがこれに当たるでしょう。しかし大都市を中心にネットスーパーが普及しつつありますので、今後は大きく成長する可能性を秘めています。

 中国では、家電やアパレル、生鮮食品など、日本では考えられないほどネットでの購入が一般的になっています。中国で嗜好品のニーズが今後ますます高まることが予想される中、中国の販売手法を熟知した上で、事業戦略を練っていただければと思います。

以前は家電販売を牽引した家電量販大手の蘇寧(写真:南京の「蘇寧易購」)
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