中国消費洞察オンライン〜中国ビジネスをマーケティング視点から再構築!
【第529回】 大手ECサイトの半数が30歳以下の若者に

若者が求める“同人”サークルを意識した戦略を

2022年7月20日更新

公園内で“茶会”を開く若者のグループ
 中国調査会社の易観分析(Analysis)は、「2021消費品業界大観察」というレポートで、大手ECプラットフォーム各社では、30歳以下のユーザーの割合が51%に達していると報告しています。30歳以下ということは、2022年の時点で1992年以降に生まれた若い世代。中国で「90後」と呼ばれる1990年代生まれの若者が、中国消費で存在感を示しつつあります。

 中国ネット通販大手の京東(JDドットコム)傘下の調査会社、京東大数据(JDビッグデータ)も、こうした若い「90後」世代の消費者が、人口、消費規模、消費の伸びなどの面で、他の世代を上回っているとレポートしています。

 「90後」世代の消費観を理解する上で、彼らの生まれ育った環境を知っておく必要があります。1979年に始まった中国の一人っ子政策世代である彼らは、中国経済の急成長期というグッドタイミングにも恵まれ、両親だけでなく両祖父母からの愛情と経済的恩恵を独り占めしてきました。

 またインターネット・ネイティブである彼らは、世界中の情報に容易にアクセスし、教養の面でも多様化が進みました。同時に、中国の国力上昇に伴う国際的な地位の高まりが、中国人としての自負心も向上させました。

 このような生育環境で育った「90後」世代は、自身の価値観を消費に反映させながら、周囲からも共感や支持を得ようとします。以前の世代よりもオープンで理解力に富み、帰属感を求め、真実や平等を重視する傾向が強いのも特徴です。

 TikTokを運営するバイトダンス傘下のデータ分析会社の巨量算数(オーシャンエンジン)によると、「90後」世代を中心とする若者のうち、「真のトレンドは自身で決める」と答えた人が53%を占め、「自身のスタイルを正直にさらけだすのがかっこいい」と考える人も33%に達しているとアンケートの結果を伝えています。つまり、このことから、中国の若者は、トレンドは自分で定義するものと考える人が全体の86%に達していることがわかります。

 このように自分で定義したトレンド(日本的には“マイブーム”と置き換えられるでしょうか)に対して、同じく興味を抱く“仲間”とコミュニティを形成し、ネットでもリアルでも、情報をシェアしたり、手に入れたモノを見せびらかせたりしながら“社交”することを好みます。こうした仲間的なつながりを中国では「圏層」と呼びますが、このサークルとも直訳される「圏層」を意識した情報拡散や販売手法が、多くの企業から注目されているのです。

 テンセント系シンクタンクの企鵝智酷が公表した「Z世代消費力白書」でも、1995年から1999年に生まれた「95後」世代の若者の実に60%が、こうした“同人”的なサークルに加わりたいとアンケートに答えたようです。デジタル、コスメ、ストリート、グルメなど一般的な同人サークルのほか、フィギュア、二次元、eスポーツ、漢服、猫好きといったニッチなものまで、続々と同人サークルが誕生しています。

 天猫(Tモール)や京東などネット通販のプラットフォームでいかに広告を打って売上を伸ばすかと考える日本企業も多いと思います。しかし、半数を超える若いユーザーがそうした広告よりも、同人サークルで紹介されたモノや、話題になったモノを欲しがっているという実態を把握した上で、改めて中国でのEC戦略を練り直すべきでしょう。

ウィスキーが置かれた書店で読書に勤しむ客の姿も…

若者が新しいブームを作る(新興の中華喫茶&スイーツ店「山海茶点」)
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