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【第542回】 代替食品を求める消費者は女性が7割

地方都市にも広がる代替食品ニーズ

2022年10月26日更新

中国で近年、若者の間で広がりを見せる代替食品
 中国で近年、若者の間で広がりを見せる代替食品。トレーニングやシェイプアップだけでなく、残業時や日常の健康維持を目的として、広く支持されるようになりつつあります。

 中国の代替食品の消費者のうち、約7割が女性と言われています。特に中国で「Y世代」と呼ばれる1985年〜89年生まれの「85後」と1990年〜94年生まれの「90後」世代が4割を占めています。また1995年〜99年生まれの「95後」世代がこれに続いており、若いZ世代の潜在力も軽視できません。

 地域別で見ると、大都市ではなく、中国で「下沈市場」と称される三線・四線(級)都市、つまり地方都市の消費者が全体の半分以上を占めているのは驚きです。SNSアプリの小紅書(RED)や動画再生のbilibili(ビリビリ)、ショート動画の抖音(ドウイン・TikTok)などの影響からか、若者文化には地域差がほぼなくなりつつあることが伺えます。

 中国調査会社iiMedia Research(艾媒諮詢)によると、若いZ世代が代替食品を購入する場として、ECと回答した人が68.4%に達しており、スーパー(15.6%)やブランド専門店(12.6%)、代理購入(5.3%)などを圧倒しています。

 一方、情報収集について、中国オンライン医療サービスの「丁香医生」が公表した「代替食業界マーケティング洞察」によると、微信(ウィーチャット)が最も多く、トレーニングアプリや友人からの推薦、ECプラットフォームのほか、小紅書(RED)や微博(ウェイボー)なども重要な情報源となっているようです。

 また代替食品を購入したことがあると回答した人が半数を超え、このほかにも2割の人たちがこれから試したいと答えています。さらに、代替食品は自分のために購入すると回答した人が実に98%とほぼ全員で、両親や子供のために購入すると答えた人が、それぞれ12%と4%にとどまっているのも興味深いです。

 中国主要経済メディア「第一財経」傘下の調査会社CBNDataが天猫美食と共同で公表した「2020代替食・軽食消費洞察報告」によると、ネットで代替食品を初めて購入した新規ユーザーと購入頻度が増えた既存ユーザーの割合が75%を超えているようで、また多くのユーザーが30日以内に再購入するなど、代替食品の日常化が進んでいるようです。

 一方で、回答者の9割が新しい代替食品を試したいと答えているのも注目に値します。代替食品の普及と浸透に伴い、栄養面だけでなく、味を追求する消費者が増えるなか、様々な味の商品が続々と誕生しています。食事代替シェイクを例にとると、ミルクティー味のほかに、小豆、紫芋、ベリー、チョコレート、コーヒーなどのフレーバーが人気で、最近ではレモンジンジャー、アボガド、ブドウのほか、塩味も登場するなど、多様化が進んでいます。

 パッケージも昨今の「顔値」と呼ばれるビジュアル重視の風潮を背景に、写真映えするデザインの新興ブランドが続々と登場。1回分の携帯用ボトルやパック、バッグに入れておける個別包装のプロテインバーやナッツバーなど持ち歩けるタイプが人気となっています。

 四川料理や日本料理などのフレーバーを加えたミールセットも登場し、シェイクやプロテインバー、低カロリー米・麺など幅広いラインナップで数日分や数週間分のセットを提供するサブスクリプション(定額課金)サービスも売れ行きが好調のようです。
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