中国消費洞察オンライン〜中国ビジネスをマーケティング視点から再構築!
【第113回】 中国のO2O産業の現状

スマホ決済こそが中国O2Oの核心

2014年3月19日更新

IMG_3640_S.jpg
  中国でも「O2O(オンライン・ツー・オフライン)」が話題になっています。この「O2O」という言葉を私が初めて耳にしたのは、一昨年の9月末にパネルディスカッションのパネラーとして参加したデジタルガレージ社主催のカンファレンスでした。会員企業であり、かつ、プライベートでも親交の深い電子決済大手のベリトランス株式会社代表取締役の沖田貴史氏が基調講演で「O2Oが今後のネット業界のトレンドを主導する」というお話をしていたのです。


  おサイフケータイや電子マネーが発展している日本ならまだしも、携帯電話を使った決済がそれほど普及していない中国はまだ先のことだろうと思っていましたが、中国でも昨年後半から一気にO2O化の機運が高まってきました。

  最近ネット業界では、いかにO2O分野で主導権を握るかという論調が多くを占めています。特に「BAT」と称されるネット業界ビッグスリーの百度(Baidu)、アリババ(Alibaba)、テンセント(Tencent)がネット通販からオンライン(スマホ)決済、レストラン(口コミ)、旅行チケット、地図、タクシー配車などあらゆる分野で投資合戦を繰り広げています。

  先日、日本経済新聞の記者と元アリババの友人とで食事をしながら、中国のO2Oについて語り合いました。そこで話題となったのが、O2Oの概念についてです。

  日本ではリアル店舗で商品を確認しながらネット(スマホ)でオーダーをすることを「オムニチャネル」や「ショールーミング」といいます。また、おサイフケータイや電子マネーもあり、携帯端末がポイントカードの代わりになり、お買い得情報などのメールやクーポンが届くことも以前から一般的に普及しています。そういう意味では後付けでO2Oの概念を被せたというイメージでしょうか。

  一方、中国ではオフラインとオンラインが関係する全てのことがO2Oとして広く捉えられている気がします。最近ではお店やレストラン、観光地などでチャットアプリの微信(WeChat)のQRコードが掲載されているのをよく目にするようになりました。今までは単なる情報受信の登録と割引クーポンが得られる程度だったのですが、そこからさらにスマホで決済(支払い)ができるようにするのが今の中国のO2Oの核心だと思います。

  そのメインプレイヤーが6億人のユーザーを抱える微信です。タクシー配車アプリ「嘀嘀打車」で微信支付(決済システム)を利用すればタクシー代10元キャッシュバックのキャンペーンを大々的に行い、一気に利用と知名度が全国に広がりました。

  昨今ネット通販に客も売上も流れていた百貨店や家電量販店など伝統的なリアル店舗の小売流通業がO2Oで巻き返しを図っているという構図も浮かび上がっています。内需拡大で消費を押し上げる必要に迫られた中国でO2Oがその救世主になるか。今後のネットとリアル両業界の動向を注視しておかなければなりません。

※会報誌(14年3月号)の巻頭特集で「右肩上がりのO2O市場、スマホ普及が後押し 中国O2Oビジネス最前線」を取扱いました。
ウェブサイトでも随時更新していきますのでぜひご覧ください。
(詳細)http://www.cast-marketing.com/index.php?Mod=Periodical

A4サイズで印刷

Copyright (C) CastGlobal Consulting Co., Ltd. All rights reserved.
No reproduction or republication without written permission.
本資料に関する著作権は弊社又は弊社に所属する作成者に属するものであり、
本資料の無断引用、無断変更、転写又は複写は固くお断りいたします。

前ページへ戻る

その他メルマガコラム記事

地元愛強い(?)地方在住「小鎮青年」
地元愛強い(?)地方在住「小鎮青年」

2024年04月24日

地元愛強い(?)地方在住「小鎮青年」
6割が不動産所有(?)の地方在住「小鎮青年」
6割が不動産所有(?)の地方在住「小鎮青年」

2024年04月17日

6割が不動産所有(?)の地方在住「小鎮青年」
日本ブランドもレトロ感演出で勝負すべき!?
日本ブランドもレトロ感演出で勝負すべき!?

2024年04月10日

日本ブランドもレトロ感演出で勝負すべき!?
下沈市場攻略は動画プラットフォームの活用を!
下沈市場攻略は動画プラットフォームの活用を!

2024年04月03日

下沈市場攻略は動画プラットフォームの活用を!
「下沈市場」と「小鎮青年」に注目すべし!
「下沈市場」と「小鎮青年」に注目すべし!

2024年03月27日

「下沈市場」と「小鎮青年」に注目すべし!
若者が選ぶキッチン三大神器とは?
若者が選ぶキッチン三大神器とは?

2024年03月20日

若者が選ぶキッチン三大神器とは?
「療癒経済」(癒しエコノミー)とは?
「療癒経済」(癒しエコノミー)とは?

2024年03月13日

「療癒経済」(癒しエコノミー)とは?
現地パートナーとの協業がますます大切に
現地パートナーとの協業がますます大切に

2024年03月06日

現地パートナーとの協業がますます大切に
SNSで大量発生する「momo」(ピンク恐竜)とは?
SNSで大量発生する「momo」(ピンク恐竜)とは?

2024年02月28日

SNSで大量発生する「momo」(ピンク恐竜)とは?
街中そぞろ歩きの「Citywalk」がブームに
街中そぞろ歩きの「Citywalk」がブームに

2024年02月21日

街中そぞろ歩きの「Citywalk」がブームに
SNSで仲間探す「搭子(ダーズ)社交」とは?
SNSで仲間探す「搭子(ダーズ)社交」とは?

2024年02月14日

SNSで仲間探す「搭子(ダーズ)社交」とは?
買って!と煽らない「慢直播」(スローライブ)とは?
買って!と煽らない「慢直播」(スローライブ)とは?

2024年02月07日

買って!と煽らない「慢直播」(スローライブ)とは?
コロナを経て広がる「理性消費」とは?
コロナを経て広がる「理性消費」とは?

2024年01月31日

コロナを経て広がる「理性消費」とは?
50歳以上の高齢者KOLが2022年に倍増
50歳以上の高齢者KOLが2022年に倍増

2024年01月24日

50歳以上の高齢者KOLが2022年に倍増
60歳以上のネットユーザー1.5億人に
60歳以上のネットユーザー1.5億人に

2024年01月17日

60歳以上のネットユーザー1.5億人に
2023年中国消費トレンド番付発表!
2023年中国消費トレンド番付発表!

2024年01月10日

2023年中国消費トレンド番付発表!
刻々と変化しつづける2023年の中国消費
刻々と変化しつづける2023年の中国消費

2023年12月27日

刻々と変化しつづける2023年の中国消費
貯蓄志向高まる中、マーケティング力が必須に
貯蓄志向高まる中、マーケティング力が必須に

2023年12月20日

貯蓄志向高まる中、マーケティング力が必須に
高齢者とブルーカラーもKOLの時代に
高齢者とブルーカラーもKOLの時代に

2023年12月13日

高齢者とブルーカラーもKOLの時代に
“出前”ECの「即時零售」(インスタント・リテール)急成長
“出前”ECの「即時零售」(インスタント・リテール)急成長

2023年12月06日

“出前”ECの「即時零售」(インスタント・リテール)急成長
もっと見る
pageTop