中国消費洞察オンライン〜中国ビジネスをマーケティング視点から再構築!
月刊会報誌『中国消費洞察』

2022年4月号 (vol. 93)

月刊会報誌『中国消費洞察』2022年4月号 (vol. 93)
【巻頭特集】SNSアプリ「小紅書(RED)」調査分析レポート
【巻頭特集】SNSアプリ「小紅書(RED)」調査分析レポート
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「種草」(シーディング)情報発信の聖地に
中国版“インスタ”「小紅書(RED)」攻略指南
【トレンドウォッチ】中国ディスカウントチェーン店業界分析レポート
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デフレ?フードロス削減?で人気急上昇
“訳あり”品特売チェーン店「Hot Max・好特売」
【マーケティングレポート】上海ロックダウン下の買い物事情①
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ロックダウンも新たな“商機”に?
共同購入が“救世主”のごとく市民の食糧調達を救う!
 会報誌2022年4月号(vol. 93)の巻頭特集では、中国で「国民種草機」と称されるほど、若者を中心に、何らかの購入を検討する際の重要な情報源として人気の「小紅書(RED)」を取り上げました。

 中国でのマーケティング手法として、影響力をますます強めている「種草」(ジョンツァオ)。種草とは、中国語の直訳では「草を植える」という意味なのですが、ウェブやSNSマーケティングでは「シーディング」(Seeding)という専門用語が当てはまります。シーディングは元々、英語で種まきや種植えの意味ですが、大きな花を咲かせる(商品の売上増)ための下準備ともいえるでしょう。

 具体的には、KOL(キーオピニオンリーダー)やKOC(キーオピニオンコンシュマー)などのインフルエンサーが、ユーチューブやインスタグラムなどのコンテンツプラットフォーム上で画像や文章、動画などにより、自身がレコメンド(推薦)する商品情報を発信し、フォロワーたちの消費欲を刺激する行為のことです。

 ここでいう刺激はあくまでも控えめな“プル”型で、購入をあからさまに促したり、ディスカウントなどで誘導するといった“プッシュ”型の内容は含みません。面白い、楽しい、役に立つといった感情を刺激し、他人と共有したいという感情を喚起させる内容がメインで、広告や宣伝の要素は極力含まないのが一般的です。

 もちろんこうした種草(シーディング)の最終目的はコンバージョン(販売転換)となります。コンテンツ内に商品を購入するためのEC(電子商取引)サイトへのリンクを設置したり、プラットフォーム内にEC機能を設けておくことで、興味から購入までのサイクルを短縮化し、コンバージョン率を高める効果も期待できるでしょう。

 マーケティング調査会社の秒針営銷科学院は「2022中国デジタルマーケティングトレンド」で、中国では種草(シーディング)がソーシャルメディアマーケティングの重要な目標の一つになっていると主張しています。KOLマーケティングを展開している広告主のうち、商品に関する種草(シーディング)を実施したいと考える企業の割合は、2022年に54%に達し、前年から14%も上回っているようです。

 この種草(シーディング)を行う場として、中国の若者を中心に圧倒的な影響力を誇り、かつ絶大な信頼を集めるのが中国版インスタグラムと称される小紅書(RED)です。特にコスメ業界では、2020年の広告投入額で、微博(ウェイボー)、抖音(ドウイン・TikTok)、微信(ウィーチャット)を押さえてトップに躍り出るなど、いまや企業が最も重視するマーケティングチャネルとなっています。

 小紅書(RED)はいかにして若者の心を掴み、その消費行動に影響を与えるようになったのか?企業は今後、小紅書(RED)上でどのように種草(シーディング)を活用していくべきなのか?という視点から、コンテンツ制作や形態、トラフィックの配分アルゴリズムのほか、広告管理プラットフォーム「蒲公英」や公式アカウント「専業号」、トラフィック誘導課金ツール「薯条」などを活用したプロモーション方法、さらには小紅書商城(EC)への出店、ユーザー像、人気ジャンルなどについて詳しく分析しています。

 次にトレンドウォッチとして、最近中国で人気のディスカウントチェーン店に迫りました。賞味期限間近のスナック菓子や飲料、また使用期限間近のシャンプーやフェイスパックなど、各種商品を破格の値段で特売するディスカウントチェーン店を、最近モールなどでよく見かけるようになりました。

 賞味・使用期限間近とはいっても、期限まで通常2~3ヶ月、多い時には半年以上残している商品が多く、特にシャンプーなどの日用品はさらに長くなっています。商品の多くは、メーカーやディストリビューターからの売れ残こりや期限が迫った“訳あり”の在庫品で、だからこそ低価格が実現できているのでしょう。

 こうした “訳あり”商品を販売するディスカウントチェーン店ですが、中国では別に真新しいビジネスモデルではありません。中国の各都市には、期限間近の食品や日用品を扱う「尾貨店」と呼ばれる店が、必ずいくつか存在します。輸入品を専門に扱う店のほか、乳製品など特定の商品のみを扱う店舗もあります。

 リアル業態だけでなく、淘宝(タオバオ)などECサイトにも、この種のショップは数多くあり、それぞれ一定の顧客層を有しています。こうしたディスカウント業態の主要顧客は、以前は価格に敏感な中高年の消費者層が中心でした。しかし近年は、若年層が新たなメイン顧客層となりつつあるようで、ベンチャーキャピタルからも多くの関心を集めるようになっています。

 現在、中国には期限間近の商品を扱うディスカウントチェーン店が十数社あります。代表的なのは「Hot Max・好特売」、「HitGoo・嗨特購」、「Boom Boom Market・繁栄集市」、「小象生活」、「食惠邦」、「hokido・禾其多」など。それぞれが立地や商品の取り揃え、フランチャイズか直営かなどの点で違いはあるものの、ビジネスモデル自体はほぼ類似しています。

 日本のディスカウント店「ドン・キホーテ」のテイストを模倣したようなブランドロゴや店内のPOP広告などで、ビジュアル効果をアピール。またマンションが多く集まる住宅街や路面店ではなく、オフィスビルやショッピングモールの中にテナント店舗を構えるというのも共通点といえます。

 各社ともインフルエンサーによる情報拡散を活用し、小紅書(RED)や抖音(ドウイン・TikTok)などSNSアプリでのマーケティングにも力を入れています。期限間近の“訳あり”商品の人気は、中国で近年、存在感と影響力を高めつつある「新消費」トレンドにも大きく関係しており、同時に、中国人の消費性向の変化も色濃く反映しています。

 そこで今号では、中国でこのようなディスカウントチェーン店が人気を集める背景に触れながら、特売品を専門に扱うディスカウント店の代表的チェーンである「Hot Max・好特買」にフォーカスして、同店の人気の背景やビジネスモデル、商品構成、今後の動向について深堀りしています。

 最後に、これまで中国国内の日本語タウン誌「ウェネバー」で連載していたマーケティングレポートを今号から刷新します。第一回目は、上海の都市封鎖(ロックダウン)下の買い物事情について。ネットスーパーが注文殺到と配送スタッフ不足により全く機能しなくなるなか、食糧確保に不安を覚える市民を救った「団購」(トゥアンゴウ)と呼ばれる共同購入についてレポートしています。

 そのほかにも、中国の消費やマーケティングに関するインサイト情報やデータが盛りだくさんです。

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