淘宝商城の新ネーム「天猫」
|
2011年には6,326億元(約77兆円)の取引高と日本とほぼ同じ規模に達した中国EC(B2C+C2C)市場の約8割を占めるに至った淘宝。2003年にオープンした淘宝は当初出店料を無料にすることで出店者を多く集め、当時中国でも優勢だった世界ネットオークション大手のeBay(易趣)と正面から対峙しました。オープン以降、順調に出店者とユーザーを集め、2010年末には出店者が200万を超え、ユーザー数は3.7億人に達し、世界でもまれに見る巨大ECサイトに変貌しました。
一方で、この淘宝は開設当初からC2C、いわゆる個人対個人のオークションサイトとしての運営形態をとりながら、実際には個人名義でショップを開設する会社が多く、ニセモノや欠陥商品を取り扱ったり、顧客対応やサービスが劣悪だったりする業者も多数存在していました。淘宝は中国EC市場の健全な発展を目指し、消費者が安心してネットで買い物ができる環境を提供すべく、2008年4月に正規ブランドのみを取り扱う「淘宝商城」というB2C専用サイトを立ち上げました。
当初淘宝商城は「mall.taobao.com」というアドレスでC2Cの淘宝網「
www.taobao.com」の「www」部分を「mall」に変更しただけでしたが、より淘宝商城のブランドが明確になるように、2010年末にサイトアドレス名を「
www.tmall.com」へ変更しました。また淘宝商城では出店者が正式に商標やブランドを所有しているかを厳格に審査し、また出店者から出店料と売上額に応じたコミッションを徴収し出店のハードルを高くすることで、気軽に0元で出店できる淘宝網との差別化を図りました。
淘宝商城は中国EC市場全体の盛り上がりと歩を同じくし、順調に出店者数を伸ばし、2011年末には61,183店舗 (※2012年1月には保証金値上げにより47,759店舗に減少)になり、取引額も前年比4.5倍の1,000 億人民元を超えました。淘宝商城で2009年4月にユニクロが大々的にネットショップを開設したことは記憶に新しいですが、今やコーセー、花王、TOTO、キヤノン、シャープ、不二家などあらゆるジャンルの日本メーカーも出店しています。
その淘宝商城、2012年1月からは中国語名を「tmall=ティーモール」の発音から派生した「天猫=ティエンマオ」に改名しました。淘宝網と淘宝商城を混同する消費者も多く、アリババや傘下の「支付宝(アリペイ)」などのようにブランドの個性を鮮明にしたいという意図があるとのこと。中国では古くから金運や財運アップのシンボルである三本脚の蛙「三脚蟾蜍(さんきゃくせんじょ)」が有名ですが、今や中国でも街角や日本料理店など至るところで目にするようになった日本の「招き猫」。日本では江戸時代から商売繁盛の縁起物として重宝されており、中国でも「招財猫」という名称で人気があります。天猫(淘宝商城)の名称に採用されたこの「猫」は、果たして幸福の招き猫となるのでしょうか?
今回は「2006-2015年中国におけるネットショッピング取引規模」と「2011年中国C2C及びB2Cショッピングサイトのシェア」のデータをご紹介します。以下、ご参考までに。
2006-2015年中国におけるネットショッピング取引規模
2011年中国C2Cショッピングサイトのシェア
|
2011年中国B2Cショッピングサイトのシェア
Copyright (C) CAST Consulting Co., Ltd. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.
本資料に関する著作権は弊社又は弊社に所属する作成者に属するものであり、本資料の無断引用、無断変更、転写又は複写は固くお断りいたします。