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2020年中国消費トレンド番付 (12)
前頭(東)消費分級:メリハリ重視の消費分級 消費者層ごとの戦略が大事に
2021年2月11日
前頭:(東)消費分級 (西)高級ブランド消費

メリハリ重視の消費分級
消費者層ごとの戦略が大事に

  より良いモノ・サービスを求める「消费昇級」(消費アップグレード)トレンドは、ここ数年の中国消費市場における主旋律だった。しかしここにきて、真に欲しいモノはいくら高価でも、また日常の必需品はリーズナブルにといった消費にメリハリをつける「消費分級」の現象も顕著となっている。

  中国は、複雑な社会構造と多様な人口構成を特徴とする国家といえる。消費者はコストパフォーマンスを重視し、心理的な満足感や趣味、格调など多様な価値観を併せ持つ。消費も単なる昇級と降級では語れない部分があり、その中間ともいえる「分級」時代に入りつつある。

  1つの方向性として、クオリティの高い商品に対するニーズが高まっている。商品の価値だけでなく、ブランドの価値や自身の気分を重視する人が増えている。

  高級ブランドの売上が大幅に増加している一方で、理性的かつコストパフォーマンス重視の消費者も多く存在する。網易厳選や小米有品など、ノンブランドのPB商品の人気はその表れといえる。

  さらに、三線以下の地方都市や農村では、価格を最も重視し、ブランドにこだわらない人もまだまだ多い。格安品の共同購入サイト・拼多多(ピンドウドウ)の人気は、その最たるものだ。

  新型コロナウイルスの流行は、消費者の収入や将来への考え方にも影響を与え、理性的なメリハリ消費の「消費分級」傾向をさらに促進させた。

  市場調査会社のカンターによる消費者指数をもとに公表したレポート「2020年中国消費者市場報告」によると、今年、多くの品目で高級品と大衆向け低価格品の双方が好調な売上を記録。一方、中程度の価格帯が比較的停滞し、価格の二極化が進んだという。(図5:高中低価格商品の過去3年間の販売成長率)
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  この現象は、ルイヴィトン、シャネルなどの高級ブランドが値上げを敢行しても、行列を生むほどの人気を博していることからも見てとれる。

  一方で、中国の百円ショップと称される名創優品(メイソウ・MINISO)の業績も好調で、2020年10月25日には、米ニューヨーク証券取引所で上場した。

  中国市場の幅広さは、この両極端の発展を充分に可能としており、中間に位置するブランドが相対的に委縮傾向にある。

  消費分級の時代に突入した今、異なる消費層ごとに発展のチャンスがあるといえる。

  ダイソンが品質や機能を重視するハイエンドユーザーから人気を得た一方で、一般大衆向けのユニクロや網易厳選もコストパフォーマンスを重視する中間層から高い支持を得ている。拼多多(ピンドウドウ)はさらに中国で「下沉市場」と呼ばれる三線以下の地方都市と農村で、幅広い支持層を持っている。

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