中国消費洞察オンライン〜中国ビジネスをマーケティング視点から再構築!


経済発展と共に変わりゆく東北伝統料理
「犬鍋文化」も今や昔?
2012年2月22日

 体の芯から温まる「犬肉鍋」
体の芯から温まる「犬肉鍋」

  寒い日が続く上海ですが、こう寒いと食べたくなるのがやはり火鍋です。中国の火鍋は日本と違い、具材を何でもかんでもガンガン入れるので、鍋というよりもまるで煮物のようになってしまうのですが、四川風の麻辣火鍋や広東式の海鮮火鍋など一度食べたらその味にもう病みつきになります。 

  中国では昔から体を冷やす食品と温める食品があるといわれています。典型的な例は前者はビール、苦瓜、緑豆、後者は紹興酒、生姜、羊肉があります。例えば、上海の秋の風物詩である上海蟹は体を冷やす食べ物なので、体を温める生姜入りの黒酢(香酢)につけて食べたり、紹興酒を飲んだりしてバランスをとるのはそのためです。 

  さて、もう一つ体を温める食べ物として特に中国東北部で重宝されている食材を紹介したいと思います。それは「犬肉(狗肉)」です。昨年の夏、私は吉林省の朝鮮族自治区の延吉という北朝鮮との国境沿いにある町に行った際、夏にもかかわらず鍋にトライしました。実は、犬鍋そのものは以前貴州省の遵儀(※)で食べたことがあったのですが、肉そのものは歯ごたえが鴨肉と同じ感じで臭いはほとんどしませんでした。夏の暑い時期だったので、ビールを頼もうとしたところ、現地でアテンドしてくれた方から「ビールは体を冷やすから組み合わせがよくない。白酒にしなさい」といわれました。さすがにお昼だったので、白酒は断りましたが、確かに犬鍋を食べた後は体の芯からポカポカとし始め、体中から汗が吹き出ました。 

  延吉では冬になると至るところで犬鍋が食されているようで、ある市内のホテルを指差され、「ここのオーナーは元々小さな犬鍋店を経営していたのですが、儲かってビルが1棟建っちゃった」と教えてもらいびっくりしました。また市内の市場では、ありのままの姿の犬肉がたくさん並べられているその横を犬の散歩に通り過ぎる地元民がいる光景に、かなりカルチャーショックを受けました。 

  私はこれまで犬をペットとして飼ったことがないので、犬肉を口にするのにもあまり抵抗感はなかったのですが、一緒に延吉に行った犬を飼っているクライアントからは犬を家族と思っているので「人でなし!」と怒られてしまいました。また、実際に地元の大学教授の方も「昔は犬肉を食べていたけど、犬をペットとして飼うようになってからは食べられなくなった」と言っていました。 中国東北部の一地方都市である延吉も経済発展が進み、それとともに人々の生活スタイルや食生活にも変化が生じてきていることを目の当たりにしたエピソードでした。 

  今回は「北京及び上海の登録ペット犬数(2011年)」のデータをご紹介します。以下、ご参考までに。

北京及び上海の登録ペット犬数(2011年)


※貴州省第二の都市で、1935年、国共内戦時に毛沢東が実質的な軍最高指導者になったとされる遵儀会議が開かれた場所。中国共産党にとってこの会議を境に形勢が逆転し最終的には中華人民共和国が成立したということで大変重要視されている町です。

このページをA4版で印刷する
 前のページに戻る

pageTop