中国消費洞察オンライン〜中国ビジネスをマーケティング視点から再構築!


中国進出時に押さえておきたい3つのポイント
市場規模の把握と地域戦略の強化を
2012年3月28日

  先週、名古屋で日本経済新聞社主催の日経懇話会で名古屋及び中部地方の企業経営者の方々が集まり、「市場としての中国の現在(いま)」という題目で講演を行いました。中国の各省、各都市の経済発展状況、消費者の特性やニーズの違いなどに触れながら、セグメント別のターゲットマーケティングの必要性をお話しました。日経の担当の方から、これまで政治や法律などマクロ的なテーマが多かったなか、ミクロ的かつ実務に即した内容はどうなるかと思っていたそうですが、意外と反応がよかったといわれ、ホッとしました。

  市場やマーケティングの話となるとどうしても総花的になってしまうのですが、今回の講演では次の3つのポイントを念頭にお話しました。

  一つ目は「中国を34個の国(市場)に分けて取り組む覚悟」です。先週のメルマガでも触れたとおり、各省別にGDPを見ると、トップの広東省だけで世界第16位に、それに続く江蘇、山東、浙江3省も世界トップ20内にランクインされています。また人口もそれぞれ8,000万から1億人以上います。これまで韓国、香港、マレーシア、シンガポールなど東・東南アジア諸国に生産及び販売拠点を設けてリソースを投入している企業はたくさんあると思いますが、GDPと人口だけ見ても、今後は各省、直轄市、自治区を一つの国(市場)と見てリソースを投入するくらいの覚悟が必要でしょう。

  二つ目は「地域ナンバーワンとローカル化戦略」、まずは特定の都市または地域に特化してリソースを集中させ、その地でナンバーワンになり、そこから他の都市または全国へ展開していくべきということです。上海市だけでもGDP的には世界第30位のタイと同じくらいの経済規模になっています。都市ごとに異なる市場や消費者の特徴や流行トレンドを把握したうえで、その都市の市場や消費者に合った戦略を取り、地元の住民からローカルブランドとして認識されるほどローカライズをしてはじめて全国展開を検討するくらいの長期的視点を持つことが大切です。

  三つ目は「インターネット(eコマース)戦略」です。2011年末にはネット人口が5億人を超え、また日本とほぼ同じ規模にまで急成長した中国のネット通販市場。ライセンス的にはネットに限れば無店舗で小売ができるまで規制緩和が進み、かつネット通販プラットホーム最大手の淘宝商城(天猫)への出店資金もそれほど大きな負担にならない状況のなか、中国でネット通販に取り組まない手はないと思います。ただ現実は厳しく、出店したがうんともすんとも言わない状況の日系企業がほとんどで、長期的に地域密着型リアル店舗とネットとを融合させながら取り組むしかないでしょう。

 最後に名古屋や中部地方に密着して地域ナンバーワン企業になり、そこから日本全国ならびに世界へと飛び立った企業の成功体験をそのまま中国でも当てはめればいいだけで、「中国で」ではなく「中国のどこどこで」まずは成功するぞ!という発想で中国ビジネスを考えてみてはいかがでしょうか。

  なお、中国ネット通販で成功した日系企業の実例がないなか、淘宝でトップ店舗になったローカル企業の関係者にヒアリングをし、淘宝での苦労話や成功の秘訣などをまとめて4月17日(火)に東京六本木ヒルズで発表します。詳しいご案内は、下記アドレスにアクセスしてご覧下さい。

■チャイナ・マーケット・インサイト 第3回
中国巨大ネット通販サイト「淘宝」をいかに攻略?
「中国ネット通販の巨人『淘宝』売上トップ店舗大研究!」
http://www.cast-marketing.com/index.php?Mod=ECNews&Cmd=DataList&Action=Detail&ECid=49


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