マーケットの実態を把握する手法の一つとして、インターネット経由でモニターからアンケートの回答を収集し分析するネット調査があります。日本ではインターネット上で手軽にアンケート等の設定ができ、指定期間内に回答及び分析結果が得られるサービスもあり、多くの企業が新商品やサービスの立ち上げ前後で活用していることでしょう。
中国でも同じようにこのネット調査サービスを提供する企業がたくさんあります。日本と同じように、ある商品やサービスを販売開始する前後で消費者からどのような反応があるか確認するうえで、安価でかつ気軽に情報を収集できる同サービスを利用している企業も多いと思います。
しかし、中国でネット調査を利用するうえで注意すべき点があります。
まず前提として、中国のネットユーザーは若年層を中心に構成されており、10代から30代がそれぞれ26.7%、29.8%、25.7%と全体の8割を占めています(CNNIC中国互聯網絡発展状況統計報告2012年1月より)。若年層ユーザーは当然ながら所得も月収2,000元~3,000元(約3万円~4.5万円)程度がほとんどで、かつ、小遣い稼ぎ程度の軽い気持ちなので、質問に対して真摯に答えるかどうかは疑わしいところです。
よって、日本と同じような感覚で中国でのネット調査を利用すると、そもそもの前提が異なるがゆえに誤った調査結果となる可能性があることを十分認識したうえで、あくまでも中国若年層全体の参考意見として活用するという態度が必要です。
一方で、より多くのサンプルを収集したいというニーズのある定量調査をする場合、中国ではCLT(Central Location Test)調査のほうが、より調査対象商品やサービスのターゲット顧客層に近いモニターをリクルートでき、かつ、フェースツーフェースでアンケートを実施できることから、より信憑性の高い情報が得られます。
このように、中国で定量調査をする際にはもちろん予算との関係を考慮する必要がありますが、ネット調査、CLT調査、電話調査などそれぞれの特性と良し悪しを把握し使い分けながら必要な情報を収集することをおすすめします。
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