中国消費洞察オンライン〜中国ビジネスをマーケティング視点から再構築!


日本企業のアジア活用法
現場への権限委譲を未来戦略に
2012年5月30日
  今週月曜日に弊グループ主催の東日本大震災チャリティーセミナーにて、企業再生及び戦略系コンサルティングの経営共創基盤(IGPI)代表取締役CEOである冨田和彦氏を講師にお招きして「アジアを活用した日本の未来戦略」というテーマでセミナーを開催しました。

  冨田氏は東京大学在学中に司法試験に合格し、ボストンコンサルティングはじめ世界的コンサルティングファームで幅広い産業分野に亘り戦略立案とその実行支援を経験され、2003年には産業再生機構の代表取締役専務(COO)に就任し、バブル経済崩壊後に疲弊した数多くの日本企業の事業再生に取り組まれ、現在に至っています。

  今回の講演では、欧米経済の失速を背景とした世界経済の中で、不況・円高・デフレに加えて震災という複合的困難に包囲された日本経済及び企業がいかに活路を見出すかについて、歴史、マクロ及びミクロ経済、社会構造、グローバリゼーション、日本企業文化など幅広い観点からお話いただきました。

  特に印象に残ったのが、日本のGDPはいまや世界の8%のみで、実に92%はアウェイ(国外)が主戦場になっており、この大部分の非日本市場で生き残るには迅速な意思決定が必要なのだが、意見調整型のボトムアップ式の意思決定では世界のスピードについていけず、圧倒的な意思決定権限を持つトップによるトップダウンが重要だというポイントです。

  先日、商業施設を開発及び運営する日系のデベロッパー企業を訪問した際に、中国ではいまや沿岸部の一線級や二線級の大都市ではなく、内陸の三線級や四線級の地方都市での機会を模索すべきだと思うが、それら都市は名前も聞いたことがないほどマイナーで本社からどっちみち承認されないと嘆いていました。一方で別の子供用娯楽施設を運営する企業を訪問すると、現場に権限が委譲されたうえで、今年は30箇所以上に施設をオープンさせる予定だと意気揚々としていました。

  中国の地方都市は凄まじいスピードで急発展しています。迅速な意思決定でトライアンドエラーをよしとする意識改革が急務で、社長自らが中国に来て陣頭指揮をとるくらいの覚悟が必要な時期になっています。
このページをA4版で印刷する
 前のページに戻る

pageTop