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中国で270店舗展開するベーカリーの雄
中国のパン食文化を開拓、85度Cの挑戦
2012年6月6日
  昨日東京六本木ヒルズで開催した第4回チャイナマーケットインサイトセミナーでは、中国で台頭する台湾系飲食チェーン徹底研究ということで複合式ベーカリーカフェチェーンの「85度C」を取り上げました。台湾では単に安くておいしいコーヒーとケーキが楽しめる街角の喫茶店に過ぎなかったのが、中国ではベーカリー店として中国のパン食文化をクリエイトするような勢いです。

  今回の講演準備で調査しながら驚いたのが、まず台湾ではほとんどパンを製造販売したことがない企業が、中国では市場調査の結果、まだケーキは時期尚早ということでパンを中心に事業戦略を切り替えたこと。日本人としては、過去に成功したビジネスモデルを大胆に組み替えて決断、実行する勇気と発想に感服してしまいます。

  また台湾では住宅地の三角コーナーで、主婦や老人が集う喫茶チェーン店だったのが、中国ではビジネス街と居住区が隣接する立地を中心に、売上の9割以上がテイクアウトで占めるまで業態を変えています。

  2007年に中国進出して以来、わずか5年間で270店舗を構えた85度Cですが、どのようにこれほどまでの短期間で店舗網拡大ができたのでしょうか。日本の飲食チェーン業にとって中国で店舗拡大するのに特に課題となるのが不動産戦略(物件探し+家主との交渉)だと思いますが、彼らはまず最初の20店舗を立地条件のいい場所でオープンさせ、業界内に知らしめることで、いまや家主のほうから自発的に物件情報の連絡が来るようになったとのこと。

  上海でも有数の繁華街のひとつ、静安区のダンスホール「百楽門」の向かいにある2号店は、毎月の家賃が27万元(約330万円)とのことですが、そのうち20万元は広告費と割り切り、契約に踏み切ったそうです。

  ついつい初期投資のハードルを低くして石橋を叩きながら慎重に事業を進めようとする日本企業にとっては耳が痛くなるエピソードですが、このくらいの大胆さが中国事業には求められているのかも知れません。

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