中国消費洞察オンライン〜中国ビジネスをマーケティング視点から再構築!


「郷に入れば郷に従え」、海外ビジネスの基本
EC宅配では品質より価格
2012年7月11日
「郷に入れば郷に従え」、海外ではビジネスのみならず生活をするうえで必ず直面する言葉だと思います。中国では横断歩道を青信号で渡るときでさえも車が突っ込んでこないか細心の注意を払いますし、逆に赤信号でも車が来ていなければ待っているほうが不思議がる視線を感じることもあります。

  コンサルの現場で、よく耳にするのですが、中国の宅配の品質はよくないですよねというコメント。確かに中国ネット通販最大手の淘宝(タオバオ)で買い物をすると、届く荷物のダンボール箱の角や形状が崩れている場合が多いですし、箱自体もそのショップ専用ではなく二次利用のものや、アパレル商品だと単にビニール袋に入れた状態で送られてきます。これは宅配業者が荷物を乱暴に取り扱うためか、そもそもショップから出る時点でよれよれになっているかはわかりませんが、ユーザーの元に届くころには日本の宅配品質では梱包が考えられないような状態になっています。

  そこで、日本企業の方は、「日本の宅配サービスと品質であれば中国人ユーザーは喜んで受け入れるだろう」と発想します。確かに多くの中国ネット通販ユーザーは宅配のサービスや品質に問題を感じており、日本式のレベルであれば「ぜひとも」となるだろうが、それはあくまでも「同じ値段で」という前提でとなります。仮にそのために配送費が高くなるのであれば、では「不要」ということになります。

  中国人ユーザーにとって、とりあえずは注文した商品が壊れずに届けば、外箱の外見はどうでもよく、それほど気にしてないのが現状です。むしろそれが当たり前の世界なので、よれよれやぼこぼこで届く荷物の外箱に対して何の違和感もありません。宅配に対してクレームになっているのは、むしろ宅配スタッフの劣悪な態度や対応のほうです。

  今後、天猫(淘宝商城)やアマゾンなどB2Cがさらに普及し、企業やブランドイメージのために配送の品質にも力を入れる企業が多くなれば、こうしたユーザーの意識も変わってくるかも知れませんが、少なくとも現時点では宅配の品質が参入機会にはならないのが現実です。郷に入れば郷に従えで、よりユーザーやマーケットの視点から実態を把握することが大切ですね。

Copyright (C) CAST Consulting Co., Ltd. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.
本資料に関する著作権は弊社又は弊社に所属する作成者に属するものであり、本資料の無断引用、無断変更、転写又は複写は固くお断りいたします。


このページをA4版で印刷する
 前のページに戻る

pageTop