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中国の富裕消費者層の現状と消費性向(5)
口コミ重視の富裕層、SNS活用で情報収集
2012年12月3日

 富裕消費者はブランドや製品に対する口コミを好み、それを信頼する傾向にある。インターネット上で製品を探す際も、企業やブランドの公式ページではなく、様々な見方が得られるサイトをチェックすることが多い。他の消費者の「ブランドストーリー」に刺激を受けるようだ。また、自らがその口コミの発信元になったり、それらを通じて自分が欲しい製品をアピールしていくこともあるという。

 企業側としてもユーザーとのコミュニケーションの場を増やし、意見を収集することが必要となってくる。高級化粧品ブランドのランコムは2010年に「蘭蔻玫瑰社区(Rose Beauty)」という特設サイトを立ち上げた。美容をテーマとした中国初のSNSサイトと言われている。同社製品に対するコメントや提案など、消費者の生の声が溢れており、登録ユーザー数は400万人にも達している。

 アパレルメーカーの凡客(Vancl)は新浪微博(ウェイボー)を活用して消費者とのコミュニケーションに注力している。特徴的なのは、企業やブランドアカウントでありがちな、新商品の紹介やセール情報を極力抑えていること。それよりも、最新のアパレル流行情報や業界データなどを投稿し、フォロワーに自由な討論を促すような方法を採っている。ややもすれば企業の「押し売り」的な態度とにも見えてしまうSNSだが、凡客は消費者との相互コミュニケーションや話題提起という形で成功している一例と言えるだろう。

 このほか、バーバリーはイタリア・ミラノでのファッションショーを動画サイト「優酷網」でライブ放送したり、スターバックスはスマートフォン用アプリや微博を活用したマーケティングを行うなど、外資系も中国系も消費者目線での情報発信や販促を強化している。

 富裕消費者は個性的で独特な考えを持ち、製品への興味や要求も多岐にわたる。それらを見据えて幅広い消費者に訴求できるブランドや企業が激戦の中国市場の勝ち組になることは容易に予想できる。そのツールとして、SNSや微博、スマホアプリなどの使い方を研究していく必要性があるだろう。(了)

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