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品質やイメージも重視し始める中国人
ロゴは時代遅れ?ブランド品は高いだけじゃダメ
2012年10月11日

 中国のぜいたく品市場は右肩上がりで成長中だ。ユーロモニターによると、2011年の中国におけるぜいたく品消費総額は920億米ドルに達し、世界5番目にまで上り詰めた。北京や上海では、ルイ・ヴィトンのバッグ、グッチの財布、オメガの腕時計をどこでもすることが出来る。しかしながら、高級ブランド品ならば何でも売れる、という考えはいささか後退しつつあるようだ。最近ではブランドのロゴを前面に出さず、製品の質や他とは違う特徴を重視する傾向が強くなっている。

 中国人消費者のぜいたく品の購入動機といえば「見せびらかしたい」というのが定番だった。富の象徴ともいえる海外の高級ブランド品をこれ見よがしに身につけ、自分のステータスをあからさまにアピールする。知り合いが自分より高級な物を手に入れれば、富裕層のメンツ魂に火がつき、さらに奢侈な物を購入するという「消費循環」もよく見られる。この傾向からいえば、ブランド品のロゴや特徴ある模様やデザインは「見せびらかし消費」に打ってつけのアイテムだった。

 しかしながら、ややもすると「成金趣味」と見られる、ロゴを前面に出した商品は敬遠されつつある。ユーロモニターのグローバル総裁を務めるファーラー・ロバーツ氏は、「ぜいたく品市場の成熟に伴い、中国人は購入面での経験を増しつつある。『ひけらかす』『見せびらかす』ためだけではない」と語る。中国人の海外旅行が増え、価格や品質、商品の豊富さに目が肥えてきたという状況もあるだろう。最近では、ただ単に高級品というだけではなく、他の人とは違う物を求める傾向にあるという。

 プラダは皮製バッグを前面に押し出しているが、自身のブランドロゴを意識的に小さくし、ルイ・ヴィトンとの差別化を図っている。ルイ・ヴィトンのユーザーに新たな選択肢を提供するという考えのようだ。もちろん、中国では都市や地域によって好みは異なり、内陸部ではまだまだブランドロゴを大きく打ち出した商品が人気だろう。しかしながら、全体的には「虚勢を張る」ような商品選択は避けられる流れにあり、「落ち着いたエレガントさ」を求める声も大きくなっているらしい。

 中国では従来から海外ブランド志向が強く、その品質やブランドポリシーは二の次で、とにかくロゴがついて価格も高い品の人気が高かった。そのため、基本的に無地やシンプルなデザインが多いユニクロや無印良品が中国に進出した当初は、なかなか消費者に受け入れられなかったという側面もある。だが、特に富裕層の間で芽生えつつある質の重視という観点は、中国市場向け商品開発やマーケティングを進める上での新たなヒントになっていくだろう。ブランドコンセプトの構築や消費者の心に響くキャッチコピーなど、商品を側面支援するさまざまな「販促武器」の重要性も高まってくると考えられる。

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