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海外でのぜいたく品購入意欲高まる中国人
中国人が全体の25%、世界のぜいたく品市場
2012年12月14日

  コンサルティング会社のベイン・アンド・カンパニーがまとめた「2012中国奢侈品市場研究報告」によると、中国人は世界最大のぜいたく品消費者に躍り出た。世界のぜいたく品消費の約25%が中国人によってなされているということである。

 中国人の消費が伸びたのは、海外旅行者数の増加とユーロ安が大きく貢献しているという。同報告は「今年、ユーロの対人民元レートは約15%下落した。上海の店舗では内外価格差が大きく、腕時計は40~50%にも上る」と説明。元々、中国では輸入ぜいたく品の価格は関税などの影響で割高となっており、富裕層は海外で購入する傾向が多くなっている。為替面でも有利なため、その購入意欲に拍車がかかったのだろう。

 中国人のぜいたく品消費のうち、約60%が海外で消費されたものだ。その2012年の消費額は31%増加しており、欧州での購入比率が最も高い。香港での消費伸び率は10%前後へと減速した。一方、中国のぜいたく品市場の成長率は、2011年の30%から今年は7%程度まで減速しているという。より良い品を求めて海外へ、というのがぜいたく品消費者層のトレンドといえる。

 直近の傾向としては、中国の不動産市場や株式市場が低迷しているため、ぜいたく品消費をできるだけ控えるケースも見られるという。また、中国の新政権が腐敗撲滅を掲げていることから、贈答品需要も萎んでいる。ぜいたく品消費のうち、このような贈答目的の比率は20%超という。ベインのリサーチによると、北京と上海のぜいたく品消費者のうち65%が「ブランドマークが目立つぜいたく品」の購入を減らしたというデータもある。

 このほか、ぜいたく品メーカーの中国進出スピードは今後数年にわたり減速していくようだ。世界的な著名ブランド企業の多くがすでに中国の二~三線級都市(準大都市~中規模都市)まで進出していることがその背景にある。また、店舗選定の条件もだんだんと厳しくなっているもよう。一方で、準大手ブランドの進出が今後のトレンドになっていくとみられる。

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