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中国の消費税改革の動向
タバコは税率UP?ぜいたく税見直しの動き
2013年3月25日

 中国の消費税の課税対象が変更されるかもしれない。全国人民代表大会(全人代)常務委員会予算工作委員会と財政部が税務総局と共同で、消費税課税範囲の改革案について検討中とのニュースが伝わっている。現行課税率の変更と共に、環境に悪影響を及ぼす製品を課税対象に含める計画があるようだ。

 中国の消費税は付加価値税ではなく、いわゆる「ぜいたく税」。現在、「煙草」「酒、アルコール類」「化粧品」「貴金属アクセサリー類、真珠、宝石、玉」「爆竹、花火」「製品油」「自動車タイヤ」「オートバイ」「自動車」「ゴルフボール及びゴルフ用品」「高級腕時計」「ヨット」「木製割り箸」「木製床板」の14品目に課されている。例えば化粧品は一律30%、自動車は排気量により1~40%、高級腕時計は20%の消費税が、生産、委託加工、輸入等の業務を行う個人または法人に課される。

 今後の消費税改革では、煙草、高級腕時計、ヨットの税率引き上げが検討されているようだ。特に煙草については国際的水準より低く(現行は最高で56%+0.003元/本。種類によって異なる)、また国民の健康水準の引き上げに向けて禁煙を後押しするためにも、検討対象の筆頭格となっている。このほか、化粧品については製品によって異なる税率の採用を検討。一方で、モーターボート、レジャー用帆船、プライベートジェット、高級バッグなどを新たに課税対象に加える方向だ。

 また、環境に優しくない製品の課税が強化される方針。ポリ袋、鉛蓄電池などの使い捨て用品、処理費用がかさむ化学肥料や農薬などが候補として挙げられている。「高エネルギー消費、高汚染」製品から徴収される消費税は専門の基金に集められ、省エネや環境保護向けに用いられる見通しだ。

 一番の関心事は、消費税率の引き上げや課税範囲の拡大が消費者に価格上昇という形で転嫁されるか否かだ。これについて専門家は、製品ごとの需給関係がポイントになるとしながらも、価格転嫁の影響が大きくなるかについては否定していない。例えば煙草は、「剛性需求(強力な需要)」があるため価格転嫁が容易に進むと見られている。価格が上昇しても愛煙家は受け入れざるを得ないとの見立てだ。もし価格が高くて煙草の量を減らす、もしくは禁煙する者が増えれば、国民の健康状態の改善につながり、社会にとって良いことだろう。また、高級腕時計は必需品ではないため税率引き上げの影響は限定的で、もし高額消費が減るようなことがあっても、習近平政権が打ち出している、いわゆる「倹約令」に合致するとの思惑もあるようだ。

 いずれにせよ、税率の変更は生産者、流通メーカー、消費者などに様々な影響をもたらすと考えられる。対象品の変更や環境保護重視やぜいたく品消費の抑制など、政府方針を頭に入れたマーケティング戦略も重要になってくる。

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