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化粧品販売のササ、中国事業が不振のワケ(1)
香港で人気のササ、中国では赤字経営
2013年4月19日

 中国の化粧品市場は近年、右肩上がりに成長している。統計の取り方により市場規模は異なるが、中国国家統計局のデータによると、2012年の化粧品小売総額は前年比17.0%増の1340億元となった。一方、市場調査会社のユーロモニター・インターナショナルがまとめた過去のデータを見てみると、国家統計の1.3~1.5倍程度となっていることが多いため、概算ではあるが化粧品市場は1800億~2000億元規模と推定することもできる。

 販売ルートは百貨店やスーパーなどの専門カウンター、ドラッグストア、各地の小規模小売店、インターネットなどとなる。ここ数年はEC市場の成長に伴いネット経由での購入が特に若い世代で流行している。市場調査会社のアイ・リサーチのまとめによると、化粧品のネット販売市場規模(C2CとB2Cの総計)は12年に576億6000万元となり、前年比で54.8%増加した。前述の化粧品市場の推定規模(最大2000億元)と比べると、実に30%近くを占めている。ネット販売市場は今後は毎年20~30%前後の成長を続け、15年には1000億元を突破すると見られている。

 さて、化粧品販売の実態をつかむために、ここではリアル店舗の動向を見てみる。百貨店などの専門カウンター以外では、全国でチェーン展開するワトソンズ、セフォラ、千色点などのドラッグストア及びコスメ小売店が代表的な販路だが、上場企業で比較的数字が取りやすい香港系のササを取り上げてみたい。

 ササは香港のコスメ化粧品チェーン店。香港のショッピングモールや繁華街では、同社のピンク色の派手な看板と店舗をよく見かけることができる。12年9月末時点で香港・マカオ市場に94店舗を展開し、同市場で最大手だ。

 同社のセールスポイントは「低価格」。一流ブランドの化粧品、香水、各種ケア用品が百貨店価格の2~3割引きで店頭に並ぶ。香港市民はもちろん、観光客の格好の買物スポットになっており、特に中国人観光客の中にはササが目的で香港を訪れる人も多い。業績も好調で、03年~12年までの売上高年平均成長率は16.8%。12年3月期の売上高は前年比30.7%増の64億5100万香港ドルだった。同期の粗利益率は45.2%、純利益率は10.8%といずれも高い数字だ。

 ササは05年に中国に進出し、上海に第1号店をオープン。12年9月末時点で中国全土に53店舗を展開している。しかしながら、その経営状況は芳しくない。12年3月期の中国事業の売上高は前年比99.8%増の2億9070万香港ドルまで膨らんだが、ササ全体の売り上げの4.6%を占めているに過ぎない。さらに重要なことは、05年の進出以来、中国事業は赤字が続いているということだ。(続)

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