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若者世代の消費は相互扶助が基本
AB制を好む90后、男子のメンツもOK
2013年7月29日

 「AA制かAB制か。それが問題だ」――。中国の若者の間で、友人との集まりやデートの時の支払い方式が変化しつつある。これまでは「男性が全額負担」という、一種伝統的な観念もあったが、消費性向や時代の流れと共にワリカンや一方が多く払う方式が普通になってきている。

 中国語でよく使われる「AA制」とは、いわゆるワリカンのこと。これに加えて最近よく耳にするのが、負担に傾斜を付けた「AB制」だ。デートで100元を使った場合、男性が70元、女性が30元を払うといった具合である。これは友人同士の食事会などの際にも用いられるようだ。

 婚活サイトの百合網がまとめた「大学生婚恋観調査」によると、恋愛中の金銭負担についてアンケート対象者の35.3%がAB制を支持している。90后(1990年代生まれ)の間では、お互いの経済条件によって「非対称的なワリカン」を行うことが一般化していると言えるだろう。この方式は、社会人になった80后の間でも広がっているという。

 会合の多い男性の中には、AA制を望んでいるもののワリカンメンバーの中に女性がいると申し訳なく思い、同時にケチと思われるのを恐れ、AB制にするという者がいる。一方、社会的進出が進んだ女性陣の中にはこれを不公平と感じる者もいるそうだ。ただ結局は、男性の虚栄心を尊重しながらも、完全な負担(全額男性のおごり)は避けたいという両者の暗黙の了解が働き、AB制が主流になりつつあるという。この点は中国特有のメンツ問題も絡んでくるのだろう。

 外食産業やエンターテインメント産業では、80后や90后のこのような消費性向を理解しながらの事業展開が求められる。最初から男女価格差を打ち出したメニュー設定などが受ける可能性もある。レディースデーの積極活用で、男性の「付き添い消費」を促す方法もあるだろう。いずれも、おカネは誰が持っていて、どこに流れていくのかを考えた上での戦略が必要だ。

 ちなみに、前述の調査によると、結婚後の家庭におけるおカネの管理は誰が行うかという質問に対して、52.2%の者が「妻」と答えていた。AA制は33.4%で、「夫が管理」とする者はわずか13.6%だった。

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