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江蘇省(12)~華東経済をけん引する注目都市~
鎮江で待たれる商業の発展、地下鉄も建設中
2014年2月4日

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建設中の蘇寧広場

  鎮江は上海から北西約250キロメートルのところにある。南京と揚州に隣接し、江蘇省の長江下流南岸に位置している。中国人にとって鎮江と言えば、すぐ頭に思い浮かぶのが香醋(黒酢)。中国全土で「鎮江香醋」として販売されている。

  鎮江の歴史は古く、三国時代には孫権が一時都を置いていたほど。古くから長江と北京と杭州を結ぶ京杭大運河の合流点に位置する地理的条件を背景に、各種商品が集まる商業都市として発展してきた。

  市内には1500年以上前の古跡や街並みが残り、観光都市としても魅力満載。劉備が風景のあまりの美しさに「天下第一江山」と称した北固山、マルコポーロがこよなく愛でたといわれ、日本画家の雪舟も修行した金山寺は、中国では「白蛇伝」神話の発祥地としても有名だ。

   特に注目に値するのは、三国時代を含む六朝時代に港として栄えた倉庫街の町並みを再現した西津渡古街。唐代から清代の石畳の跡や、元代に建立されたチベット仏教のチョルテン(仏塔)が保存され、また清代の英国領事館旧址が現存し、商業都市として海外からも重要視されていたことが垣間見れる。中国の悠久な歴史を肌で感じられる古跡に囲まれたこの地区には、今やバーやコーヒーショップ、レストランなどが並んでいる。

  一方、経済データを見ると、鎮江の規模は必ずしも大きくはない。しかしながら成長性が感じられるのも事実である。12年GDPは2630億元で、前年比12.8%増。増加率は全自治体平均を2.7ポイント上回った。都市部住民の1人当たり可処分所得は前年比12.8%増の3万45元、社会消費品小売総額は同15.7%増の761億元で、増加幅は江蘇省でNo.1だった。100戸当たりの自家用車保有台数は都市部が23台(前年比2台増)、農村部が14台(同4台増)、PC保有台数は都市部が98台(同3台増)、農村部が50台(同5台増)となっており、経済全体と市民の消費力が着実に伸びていることがうかがえる。

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オープン間もない万達広場

  鎮江にはかつて、大型商業施設が1軒しかなく、ハイエンド製品を購入するためには南京や常州、揚州までわざわざ行く必要があった。この状況に変化が現れたのは10年に八佰伴(ヤオハン)がオープンしてからだ。11年8月には万達広場が開業。現在は財富広場や蘇寧広場など複数の複合モールが建設中だ。大潤発、ウォルマート、大統華、永輝といった大型スーパーも進出。鎮江の消費の将来性に注目した企業の動きと捉えられる。(続)
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