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キーワードで読み解く2014年の中国消費トレンド(2)
「控え目」重視、進む「ロゴ離れ」
2014年1月27日

◆控え目で個性を重視、反腐敗政策の産物?

ブルガリ中国のインテリアデザインマネージャーのビビアン・チェン氏は、中国の反腐敗政策やいわゆるぜいたく禁止令などが政界及び産業界での奢侈品ブランド消費を冷え込ませていると指摘する。特に贈答品市場の落ち込みが激しい。このため消費者は「派手さを控え、あまり目立たずに控えめな、個性を重視した」ブランドを志向するようになっている。各ブランドもこのトレンドを意識した製品展開が求められよう。インターネット上では、中国ブランド企業が自社デザイナーを抱え、最新トレンドと融合した服飾品を打ち出している。オーダーメイドや予約販売方式も取り入れ、微博(ウェイボー)や微信(We Chat)で販売チャネルを拡大中だ。習近平国家主席の妻の彭麗媛氏が外遊時に中国ブランド「例外」のスーツなどを着用していたことも話題となった。同ブランドは決してメジャーではないが、シンプルで麻や革などを使った服が特徴だ。このようなブランドは価格もリーズナブルで、これまで高級ブランドにしか目がなかった消費者の注目を徐々に集めている。
中国でも人気の高いプラダ
中国でも人気の高いプラダ


◆進む「ロゴ離れ」

 中国人消費者がブランドに求めるものは「ロゴが大きければ大きいほど良い」というものだった。しかし、現在は個性化を重視する傾向にあり、快適でファッショナブル、合理的な価格という点も選択のポイントになっている。ブランド名は必ずしも重要ではなく、自分が好むかどうかが大事だ。企業側は個性化の追求と共にオリジナル製品の創出能力が求められている。13年に北京にオープンしたフランスの百貨店、ギャラリー・ラファイエットは、カルティエやルイ・ヴィトンなどのブランドをテナント誘致せず、中国の次世代ファッションブランドを中心に入居させた。これも市場全体の流れを反映した動きと言えるだろう。

 ブランドコンサルティングを手掛けるRTG奢侈品牌管理諮詢の共同創業者である陳杰認氏によると、中国人女性にとって高級ブランド品はもはや唯一の選択肢ではなく、デザイナーズブランドやプチ高級ブランドが台頭しているという。自分のライフスタイルに合致しているかどうかも大きなポイントだ。大きなロゴを追求する時代は終わり、ブランドへのこだわりも薄れている。ブランドやロゴで自身を表現するのではなく、そのブランドが自分に合っているかどうか、サービスが良いかどうかなどを重視し始めている。そのため、控え目でオリジナリティがあり高品質な物を求めるという機運が高まっているのである。LVMHやグッチの中国での売上高がスローダウンし、プラダ、ボッテガ・ヴェネタなどが人気を博していることからも、この機運がうかがえる。(続)

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