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爺茶が進出、競争激化するカフェ風茶館市場(1)
進出1年で50店舗展開した台湾系の爺茶
2014年3月28日

 最近の中国では、上海や北京の一線級都市だけでなく二~三線級都市においてでも、お茶系ドリンクスタンド(カフェ風茶館)を数多く見ることができる。その多くはフランチャイズ型で、進出ハードルも低いので、個人ビジネスを手掛けたい中国人の間でも投資対象として人気が高い。ドリンクスタンドの代表格は台湾系の快楽檸檬とCoCo都可茶飲で、それぞれ中国全土に300店舗、500店舗以上を展開している。一方で追随者も多く、店舗やメニュー構成がどれも同じようなドリンクスタンドが乱立しており、競争は激しさを増している。そんな中、2013年に台湾のブランド、爺茶(GRANDPA)が進出してきた。他社とは一線を画し、「人文時尚茶館」という全く新しいコンセプトを打ち出し、わずか1年間で50店舗を展開した。
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シンプルでお洒落な店構え



今回は爺茶のイグナティウス・リン中国区総経理に、中国のお茶系ドリンクスタンドの競争状況について分析してもらった。

 ――茶飲料市場では爺茶は「新顔」で、知名度は快楽檸檬とCoCo都可茶飲に及ばないと思います。爺茶ブランドを紹介してください。

 爺茶は台湾発の茶飲料ブランドだ。喫茶は中国人の伝統的習慣で、コーヒーよりも茶の愛好家の方が多い。しかしながら、現在では「茶館」というと古臭い印象があるのも事実で、若者への訴求ができていない。彼らはスターバックスに代表されるようなカフェやコーヒーこそがトレンドと感じており、お茶をたしなむ人は徐々に少なくなっている。

 我々は喫茶文化を広めるために、また台湾の良質茶を中国の消費者に紹介するために「爺茶」ブランドを推し進めている。「人文時尚茶館(人文的でトレンド性のある茶館)」というコンセプトを通じて、若者の喫茶に対する印象を変えようとしている。人文時尚茶館は、お洒落で洗練されたスペースで天然原茶葉のお茶を楽しむという考え方が中心になる。台湾の調合師が若者の嗜好に合った50種類近くの茶飲料を作り、喫茶の魅力を体験してもらう。テイクアウトが中心の他ブランドと違い、当社は70~100平米の大型店を多く展開している。テイクアウトのみの店舗は少数派だ。

 特筆すべきは、当社は台湾の「李阿求」の茶葉を使用しているということだ。李阿求は清の時代から台北郊外の三峡で栽培されている茶葉で、有機無農薬栽培と手摘みが特徴。台湾では最高クラス(頂級優質)の茶葉として名を馳せる。食品安全面で最も厳しいとされるSGS認証を取得しており、スターバックス、長栄航空(エバー航空)、鼎泰豊などにも出荷している。当社は、コストは二の次でこの最高級茶葉を使用し、品質面で他社を圧倒している。

 ――爺茶は昨年(2013年)、「ゼロ」の状態から一気に50店舗をオープンしました。店舗展開戦略と、快楽檸檬やCoCo都可茶飲との違いを教えてください。

 爺茶は中国市場の50店舗全てでフランチャイズ形式を採用している。直営店はない。浙江省を中心に上海、蘇州、無錫、嘉興、金華、永康、紹興、泉州などに展開し、北は太原や銀川、西は貴陽や遵義、南は海口まで進出している。

 当社は後発ブランドなので、シェア獲得と知名度向上を目指し、初期においては「スピード開店」を原則とした。特定の地域にこだわらず、フランチャイズ展開では地域面の制限を設けていない。フランチャイジー(加盟者・加盟店)には地域統括型に加えて単店のみの経営者もいる。実るためには、まず花が咲くことが必要ということで、まず店舗をオープンし、継続的に発展していくことを望んでいる。地域によっては有力なフランチャイジーもいるが、彼らには加盟金の面で優遇を与えている。

 快楽檸檬は06年に進出した。当時は競合相手が少なかったため、「まず強くなり、それから大きくなる」という戦略をとった。初期は全て直営店展開で、09年からフランチャイズ方式を開始した。一線級都市と主要二線級都市では直営店方式及び単店舗展開のフランチャイズ方式を採用。その他の二~三線級都市では地域フランチャイズ方式を行っている。一方、CoCo都可茶飲は本部による管理を重視し、地域別授権の「合資代理人」モデルを用いている。管理職経験者のマネージャーレベルの人材を登用し、(店舗に)最高48%の出資を認めるジョイントベンチャー方式だ。各社は市場の状況に応じて異なる戦略を進めている。(続)

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