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中国O2Oビジネス最前線(8)
快的打車 ~急成長中のタクシー配車アプリ~
2014年4月24日

 中国の大都市では朝晩のラッシュ時に繰り広げられる「タクシー争奪戦」が定番となっている。北京や上海では地下鉄などの公共交通機関の整備が進むが、慢性的なタクシー不足という状況は大きくは変わっていない。そんな中、タクシー配車アプリの人気が高まっている。

 業界最大手の快的打車は、泛城科技が12年5月に開発したアプリが出発点。同9月にサービスを開始し、12月には杭州快智科技として独立した。13年4月にはアリババから400万米ドルの出資を受け、モバイル決済の「支付宝銭包(アリペイ・ウォレット)」と連動。13年12月末時点で全国41都市において事業を展開している。

 使い方は非常に簡単。アプリを立ち上げて地図で現在地を確認し、行き先を入力。周辺にタクシーがどれくらい走っているかも確認できる。特徴的なのは運転手に渡すチップの額が選べること。0~20元の間から選択できる(この機能は地方によっては使用禁止になってしまったらしい)。予約が成立すると、運転手から確認のメールや電話が来て、知らされたナンバープレートと照合して乗車となる。ちなみに、配車アプリは利用者バージョンと運転手バージョンの両方が用意されている。ダウンロードや利用は無料である。

 このサービスは上海などの大都市で特に人気だ。街で手を振る客を尻目に「空車」ランプのタクシーが何台も通り過ぎるシーンを目にするが、これは「配車アプリでの予約客向けに迎車中」という車が多いから。それだけアプリ使用者が多いということだろう。

 快的打車のライバルは嘀嘀打車だ。同じ12年9月にサービスをスタートし、13年4月にテンセントから1500万米ドルの出資を受けた。13年12月末時点で全国32都市に進出し、市場シェアは43.6%で快的打車と拮抗している。

 配車アプリでも繰り広げられるアリババvs.テンセントの争い。この状況は、両者が「出血大サービス」ばりの補助金支給を打ち出した14年1月にさらにヒートアップした。快的打車は支付宝銭包の利用で、乗客は10元のキャッシュバック、運転手は15元の補助金を受けることができるという販促活動を開始。一方、嘀嘀打車はテンセントのチャットアプリ、微信の決済サービス(微信支付)と連動させ、同サービスを利用した運転手と乗客にそれぞれ10元のキャッシュバックを行った。アリババは5億元、テンセントは4億元の販促活動費を投入したとされ、配車アプリ2強のシェア争いが14年も激しくなりそうだ。

ただ、上海市は2月26日、タクシー配車アプリの利用制限策を打ち出した。朝夕のラッシュ時(7時半~9時半、16時半~18時半)に限り同アプリの利用が禁止される。背景には、アプリ利用者の増加により、いわゆる「流し」のタクシーが相対的に減少しているという事情があるよう。この動きが他の都市にも広がっていくかも注目されそうだ。(了)

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