中国消費洞察オンライン〜中国ビジネスをマーケティング視点から再構築!


ゴージャス施設が続々登場、首都・北京の力強い消費(1)
新型モールで消費多様化
2014年5月26日

 北京の消費市場が活気付いている。政府による「倹約令」の影響もなんのその、市民の消費力は百貨店やショッピングモールでうかがい知ることができる。

 2013年の百貨店別売上高ランキングでは、北京の新光天地が75億元で全国1位の座についた。このほか、燕莎奥特莱斯が37億元、西単大悦城が35億1000万元で、全国ショッピングモールランキングのそれぞれ8位と9位に輝いた。百貨店チェーン部門では、北京の新世界百貨が30億元で首位だった。

 北京ではこのほかにも新型モールが続々と開業し、ショッピング環境の多様化が進んでいる。今回は「北京再発見」という意味も込めて、各商圏の特徴を押さえた上で、今注目されている北京の消費スポットを紹介、分析する。
____________________________________.JPG
北京では大型ショッピングモールが目立つ


①望京商圏 ~消費水準高いスーパーの激戦区~
 主要商業施設:凯徳望京、六佰本、望京新世界百貨、赛特奥特莱斯

 東四環路及び北四環路付近にある。常住人口20万人のうち、外国人が全体の3分の1を占める。特に韓国人が多く、スーパーやモールからサウナ、カラオケ、アパレルショップなど「韓式」の店舗を数多く見かける。消費水準は北京市平均の7倍と高い。商業施設の競争は特にスーパーで激しく、物美超市が2店舗構えるほか、新世界百貨系スーパー、華聯系のBHG、ロッテマート、カルフール、オーシャン、ウォルマート、卜蜂蓮花(ロータス)などがある。一方、06年に進出したイトーヨーカ堂は14年4月28日をもって営業を終了した。

②三里屯商圏 ~ナイトスポットからトレンドの発信地へ変貌~
 主要商業施設:三里屯太古里、三里屯Soho、世貿工三

 バーストリートとして有名な三里屯。北は燕莎商圏、西は東二環路のビジネス街、東は同じくビジネス街のCBDに挟まれている。08年に三里屯太古里(元・三里屯Village)がオープンし、ナイトライフの中心地からトレンドの発信地に生まれ変わった感がある。今や、個性を追い求める北京人や外国人が集うスポットとなり、ストリートスナップでも人気だ。オリジナリティーあふれるブランドショップや異国風情漂う世界各地のレストランが軒を連ねる。周辺に大規模住宅地はないため、消費の「基礎」に欠けているとも言えるが、若者のパワーがそれを補っている。中心地からほど近い工人体育館ではコンサートやイベントが頻繁に開催され、24時間営業のスターバックスや書店のPage Oneなどもある。

③燕莎商圏 ~燕莎友誼商城を中心に国際的雰囲気漂うエリア~
 主要商業施設:燕莎友誼商城、藍色港湾、鳳凰匯、頤堤港

 名前は老舗の燕莎友誼商城から来ている。東三環路の大使館密集地域に近く、国際的な雰囲気が漂うエリア。外国人居住者が多く、大型ホテルも建ち並ぶ。燕莎友誼商城はオープンから20年以上経つが、国際的百貨店の雰囲気は健在で、13年売上高は72億元。これは新光天地に次いで北京の百貨店で第2位の規模である。現在は、藍色港湾や三元橋近くの鳳凰匯、酒仙橋近くの頣堤港などの新規参入組が加わり、商圏としての魅力を高めている。

④東直門商圏 ~交通ハブから発展~
 主要商業施設:来福士広場、銀座Mall、簋街餐飲一条街

 交通ハブとしての重要性が発展のきっかけ。東二環路と東直門外大街が交わる付近が中心部で、地下鉄2号線で市内各地と結ばれているほか、エアポートエクスプレス「機場快線」の発着駅もある。主要消費者は近隣オフィスで働くホワイトカラー層。

⑤朝外商圏 ~アート感あふれる僑福芳草地が新たなシンボルに~
 主要商業施設:僑福芳草地、悠唐生活広場、豊聯広場、藍島大厦

 東二環路と東三環路に隣接し、CBDの入り口的存在。北京市が計画した市級商業センターの一つ。同商圏の消費者層の70%は燕莎商圏と国貿商圏で働く政府、金融業界、メディア業界の関係者たちだ。中央電視台と北京電視台が同地域に移転してきたことで朝陽路沿いに居を構える者が増えたが、彼らもまた同商圏のターゲット層である。朝外SOHO、SOHO尚都、光華路SOHOなど特徴的な外観を持つオフィスビルも数多い。12年にオープンした僑福芳草地は上海のK11のようなアート感あふれるショッピングモールで、同地域の新たなシンボルとなっている。

⑥国貿CBD商圏 ~「プチブルジョア」が集う北京随一の商業圏~
 主要商業施設:国貿、銀泰中心、新光天地、世貿天階、万達広場

 建国門外大街と東三環路の交差地点にある中国国際貿易センター(国貿)が中心地。天安門広場からほど近く、首都国際空港からは車で45分の距離にあり、市東部の交通ハブ。金融関連を中心に世界大手企業が拠点を置いており、北京でホワイトカラーが最も集中するエリア。それゆえ、商圏のポジショニングは「プチブルジョア」とされ、いずれの商業施設もインターナショナル路線を採る。国貿商城は北京でも老舗のハイエンド奢侈品モールで、新光天地は13年売上高が75億元に上り、中国の全百貨店の中で最高だった。

⑦王府井商圏 ~老舗ストリートは健在、観光スポットの要素も~
 主要商業施設:東方広場、王府井百貨百、apm、楽天銀泰(IN88)、金宝匯

 天安門広場の東側に位置。長安街、灯市口、金魚胡同、東安門大街に挟まれたエリアを指す。王府井大街は歴史ある商業街で、火鍋料理の「東来順」、北京ダックの「全聚徳」、時計店の「亨得利」などの老舗が並ぶ。一方で国内外からの観光客のお目当てスポットでもあり、屋台ストリートや小規模のお土産屋なども目立つ。バーバリーやグッチ、カルティエなどのブランド店と共存している形だが、商圏のポジショニングとしてはいささか微妙なところだ。商圏自体は拡大基調で、2015年には王府井国際商城、嘉徳芸術中心、海港大厦、国際品牌中心など新たに七つの大型商業施設がオープンする。将来的に地下鉄8号線がapmの地下まで延伸される予定だ。

⑧西単商圏 ~若者層がターゲット、大悦城が中心~
 主要商業施設:西単文化広場、韓光百貨(元・中友百貨)、君太百貨、西単大悦城、西単広場、巴黎老佛翁百貨

 天安門広場の西側、長安街と西単路の交差点を中心に広がるエリア。西単北大街沿いに商業施設が集中し、王府井と並び北京の二大商圏と称されている。1日当たりの訪問客数は22万人超。王府井とは異なり、若者やトレンドに敏感な層を主なターゲットとしており、その雰囲気がファッションなどからも感じられる。代表的商業施設は西単大悦城。12年売上高は35億元で、同エリア全体の17.4%を占めた。全国のモールランキングでは第16位。このほか、学生をターゲットにする華威大厦などが目立つ存在。フランスの巴黎老佛翁百貨(ラファイエット)のオープン後、競争が激化している。

⑨金融街商圏 ~3万人のホワイトカラー層がけん引~
 主要商業施設:金融街購物中心、復興門百盛、長安商場

 長安街の北側に広がり、西二環路の復興門から阜成門までの一帯を指す。金融関連の政府機関や、国内外の金融、保険、通信などの著名企業がオフィスを構えている。消費の主役は3万人規模と言われるホワイトカラー層。高収入でブランドロイヤリティーが比較的高い彼らをターゲットとしたハイエンドモールや国際的著名ブランドが軒を並べる。ウェスティンやリッツ・カールトンといった高級ホテルもあり、リッチ層を惹きつけている。(続)

⑩中関村商圏 ~ITの中心地から現代的商業エリアへ~
 主要商業施設:当代商城、欧美匯、双安商場、華宇時尚購物中心

 「中国のシリコンバレー」との異名を取る中関村は、IT人材や情報が集まるエリア。清華大学、北京大学など39の教育機関があり、学生数は40万人規模。中国科学院に代表される科学研究機関も213カ所あり、スタッフは8万人超に上る。IT製品専門モールは10カ所以上を数える。代表的商業施設は、高級路線の当代商場、トレンド路線の欧美匯、歴史ある双安商場など。IT製品の一大ストリートから、大学生やホワイトカラーを中心に多くの買物客が行き交う現代的な商業エリアに変貌している。(続)

Copyright (C) CAST Consulting Co., Ltd. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.
本資料に関する著作権は弊社又は弊社に所属する作成者に属するものであり、本資料の無断引用、無断変更、転写又は複写は固くお断りいたします。

このページをA4版で印刷する
 前のページに戻る

pageTop