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地元市民の心をつかむ、キラリと光る地場系小売企業(1)
内陸地方都市の消費をけん引する主役たち
2014年6月23日

 中国市場はとにかく広大だ。13億人の消費市場とひとくくりにする場合もあるが、各省や地域によって人口や文化、生活習慣はもちろん、経済発展の度合いや消費レベルが大きく異なる。それゆえ、中国全土で事業展開をすることは困難を極めている。

 一方、沿岸部に比べて内陸部の成長が著しいのもまた事実である。チェーン展開する大手百貨店及びショッピングセンターの各社で最高売上高を誇る店舗は、北京や上海だけではなく、地方の中規模都市にあることも多い。北京を拠点とする王府井百貨の各店のうち、2013年において最高売上高を記録したのは成都店(四川省)の32億6000万元である。その成都を拠点とする龍湖・北城天街は、重慶店の売り上げが最も良かった。伊勢丹の中国店舗のうち、最も営業収入が高いのは天津店だ。各地で巨大な消費市場が誕生しつつあることが分かる。

 この地方経済の発展の恩恵を受け、同時にその成長をけん引するのが、各地に存在する地場系大手企業だ。百貨店やスーパーマーケットなど、地元市民の生活に密着した業態は、地場系企業の得意とするところである。

 例えば、13年百貨店チェーンランキング(中国連鎖経営協会まとめ)で第2位となった大商は、遼寧省大連を拠点とする小売グループ。日本でも知名度があったマイカルを展開し、スーパーや家電量販店も経営する。同3位の重慶百貨大楼は総売上高376億元を誇るが、これは重慶市の社会消費品小売総額の7.3%に相当する額だ。この企業なしでは重慶消費市場は語れないという存在になっている。同4位の銀座集団は山東省済南を拠点としており、社名通り「銀座」ブランドを前面に掲げてスーパーからコンビニエンスストアまで手掛けている。

 日本では、地場系小売企業と言うと、地元では高い人気を誇るものの大手の全国展開に押され気味で、先細り的なイメージがあるだろう。規模のメリットで負けてしまい、資金面のやり繰りが困難な企業も多い。

 ところが、中国では地場系企業は基盤となる地元をがっちりと押さえており、独特な商品構成やきめ細かいサービスや消費者の心もつかんでいる。全国チェーンを展開するライバル企業としては、華潤万家や大潤発、ウォルマートやカルフールなどが挙げられるものの、いずれもハイパーマーケット業態が多く、百貨店やコンビニとなると地場系企業の強さが目立つ。

 中国各地でキラリと光る地場系小売企業を取り上げる。



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