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EC業界の風雲児、京東商城が目指す総合モール(4)
「業界の風雲児」か、ただの「ビッグマウス」か
2014年7月4日

 京東商城は他社との提携も強化している。14年3月、インターネットサービス大手の騰訊(テンセント)による15%出資受け入れとEC事業の提携で合意。京東商城がテンセントのC2Cプラットフォーム「拍拍網」などを引き継ぐことになった。京東商城はインスタントメッセンジャー「QQ」やスマートフォン向けチャットアプリ「微信」などテンセントが持つコミュニケーションツールからのユーザー誘導を進め、アリババの淘宝網(タオバオ)が圧倒的シェアを誇るC2C市場で一矢報いる考えだ。

 14年4月には、聯想集団(レノボ)との間でモバイル製品販売に関する戦略提携を締結。レノボが展開する1000元以下の格安スマートフォン「S8」を独占販売した。いわゆるネット通販専用機種である。今後も商品開発から宣伝、物流、アフターサービスに至るまで協力関係を強化するという。

一方、京東商城の課題として挙げられるのは販売製品の多様化だろう。EC大手の取扱製品別シェアを見ると、京東商城は元々強みを持つ3C製品でシェア42.6%となり、アリババ系の天猫を抑えて第1位である(14年1~3月期。易観国際による)。一方、書籍類では16.4%で第3位、アパレルではシェアがわずか2.3%にとどまる。製品の種類は増えているものの、これらの数字を見る限り販売バランスには改善の余地があるのかもしれない。各分野でのシェアを上げていけば、真の意味での総合ECモールへと飛躍していきそうだ。

 劉CEOは何かと注目を集める人物である。12年に話題となった「EC低価格戦」は、同氏の「ゼロ元でも売る」という微博上の宣言から始まったものだった。「業界の風雲児」ともてはやされる一方、「ビッグマウス」とも揶揄される京東商城の創業経営者。株式上場という大きなステップをきっかけに、中国EC市場でどのような新たな戦略を打ち出していくのか。同社は今後も業界の台風の目として注目されていくだろう。(了)






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