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90後の消費性向を踏まえたマーケティング手法とは(4)
本質とブランドストーリーを重視
2014年8月19日

 これらを踏まえ、実際の90後向けマーケティングを行う上でのポイントはどのようなものだろうか。現地の専門家や市場ウォッチャーの様々な見方から、我々は以下の4点にまとめてみた。

◇クオリティー重視のライフスタイル
◇価値観の共有と体験効果
◇「個」を大事にするが「孤独」ではない
◇キラリと光る善良さ

◇クオリティー重視のライフスタイル

 従来は、良く言えばコストパフォーマンスの高さ、悪く言えば価格の安さが若者向けブランドの売り文句の一つだった。特に、スポーツアパレル、IT、スナック菓子、飲料品などに当てはまる。しかしながら、90後は自身の生活にクオリティーを求めており、彼らが興味を持つポイントは価格だけではなくなっている。ある製品やサービスを買うことにより、自分の生活の質が向上するかどうかという視点も重視している。この傾向は、家具や小型家電、自動車などの分野によく見られる。中国でお洒落な生活雑貨やデザイン性が高い家電製品などの存在感が増しているのは、このような若者世代のニーズによるところが大きいだろう。
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90後にとって韓流ドラマの影響や口コミ効果は大きい


 また、90後はブランドに対する目も厳しい。ブランドやメーカー側はこれまで、「我が社こそ若者の夢や希望を代表するブランド」というような直接的かつイメージ先行型の広告戦略やマーケティング手法を中心に行ってきた。ところが90後は、企業が前面に押し出す製品やサービスが実は若者の夢と何の関係もないことを悟っている。そうなると、掛け声だけ威勢のいいブランドは、90後にとって非常に空虚な物に映ってしまい、自身の生活に何の影響を及ぼさない意味がない物とすら捉えられてしまう。彼らが重視するのは、ある製品やサービスが自身の日常生活に何をもたらしてくれるのかという、実は非常にシンプルな一点なのである。

 この意味では、決してメジャーブランドが有利というわけではなく、きめ細やかで質の高い製品を提供する企業が一定の評価を得やすいだろう。明確なコンセプトを持ち、消費者に訴えるエモーショナルな要素を兼ね備えるブランドが成功を収めやすい。

 最も成功した例はイケアだ。同社は98年に中国に進出して以来、上海や北京、広州はもちろん、重慶や成都、武漢などの内陸まで16店舗を展開中。彼らが掲げるコンセプトは、より多くの人により良い家庭生活を創造するというもの。特に高い理想をうたっているわけではないが、“普通の生活”を志向する若者には受けやすい。同時に、DIYという特徴もあり、様々な種類の家具やキッチン用品、装飾物を組み立て、組み合わせることで、オリジナリティのある生活空間を生み出すこともできる。しかも価格は高くない。自分らしさを重視し、生活のクオリティー向上を望む90後にとって、まさに定番のブランドと言えるだろう。(続)

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