中国消費洞察オンライン〜中国ビジネスをマーケティング視点から再構築!


ネットスーパーに押される従来型小売業者(1)
カルフールも悪戦苦闘、新たな対抗馬の登場
2014年11月17日

 9月下旬の週末、上海市の古北地区にあるカルフール(中国語で「家楽福」)に立ち寄ったときのこと。店内に入ると、いつもと様子が違う。2階に入居していた専門店の大部分がクローズしており、「テナント募集中」との紙が貼られていたのだ。驚いたのはこれだけではない。さらに店内を眺めてみると、スーパーの買物客もほとんどおらず、ガラガラ状態でかわいそうなほどだ。1階のフードコートはさすがに人が多かったものの、ランチやディナーのピーク時には騒がしいほど盛り上がっていたかつての光景は見られない。

 このカルフールは古北の高級住宅地に立地し、周囲には外国人居住者が多いこともあり、グループの中でトップクラスの店舗だった。全盛期の年商は10億元を超えていたほど。ところが、その盛況ぶりはどこへやら。「カルフールはどうしてしまったのだろうか?」。こんな疑問を感じずにはいられない。

 カルフールは、同業の大潤発(RTマート)に2009年に単店舗当たり売上高で抜かれてから、業績は下降傾向。「中国チェーン企業100強ランキング」において最高7位まで上昇していたが、13年は11位となりトップ10から陥落した。14年に入り、各地で店舗閉鎖のニュースが相次いでいる。4月には浙江省寧波の琴台店、9月には杭州の萧山店が閉店した。同省では6店舗が営業しているが、これは11年以来の最低水準だ。

 カルフールだけが「おかしい」というわけでもない。小売業の情報サイト「聯商網」がまとめた「2013年主要小売チェーン企業閉店統計」によると、米ウォルマートは同年中に14店舗を閉鎖した。同社は14年中にさらに20店舗超の不採算店を閉鎖するという。同統計の2014年上半期版によると、同期において146の大型スーパーが閉店の憂き目にあったが、そのうち8割に当たる118店が外資系(合弁含む)だった。

 外資系の不調の原因としては、熾烈な市場競争という点に加え、消費者の購入パターンの変化が挙げられる。すなわち、電子商取引(EC)の攻勢だ。マイカーに乗って大型スーパーに出かけるというのは、一種の余暇の過ごし方やお洒落なライフスタイルと持ち上げられたこともあったが、今やECに取って代わられてしまった。特に、時間的コストと利便性を重視する若手社会人はECに流れがち。スーパーへ行く頻度は2~3日に1回から1週間に1回へと減り、今では1カ月で1回も訪れないという者も出てきている。(続)


Copyright (C) CAST Consulting Co., Ltd. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.
本資料に関する著作権は弊社又は弊社に所属する作成者に属するものであり、本資料の無断引用、無断変更、転写又は複写は固くお断りいたします。

このページをA4版で印刷する
 前のページに戻る

pageTop