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中国LED市場を開拓するフィリップス(1)
省エネ需要でLED産業が拡大中
2014年11月20日

 コンサルティング会社のマッキンゼーのまとめによると、2012年における中国の照明市場規模はアジア全体の45%に上った。また、その中国市場の約12%をLEDタイプが占めるという。同社は、中国のLED市場が16年まで年間平均43%のスピードで拡大していくと予想する。
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フィリップス製品の販売店


 中国政府は12年からLED市場を後押ししている。22億元を投じてLEDや省エネ電球を普及させていくというもので、100W以上の白熱灯や一定の水準以下のハロゲン電球の販売禁止策も発表した。これにより、15年のLED市場は678億元まで拡大し、さらに普及が進めば20年には1386億元市場まで拡大すると予想されている。

 LED市場には小規模メーカーの参入が相次ぎ、競争は激化している。今回は照明大手のフィリップスの現状と戦略を、同社マネージャー(不動産業界担当)のビンセント・チョウ氏に聞いた。

 ――中国の照明市場の概況や競争の現状を教えてください。

 中国の照明市場(器具や電球など)は約300億元規模だ。市場は大きくコンシューマー向けと法人向け(特殊用途向け)に分けられる。前者は一般家庭用製品、後者は商業施設やホテル、オフィス、工場、医療機器や街灯、都市イルミネーション向けなどだ。フィリップスは家庭向け、自動車向けから特殊用途製品まで幅広くカバーしている。中国を含むグロースマーケット(新興国市場)における13年総売上高は36億5500億ユーロ(約311億元)だった。

 中国照明市場の主要プレーヤーは、当社に加えてオスラム、GE、パナソニック、ソーンなどが挙げられる。中国メーカーでは雷士照明(NVC)、三雄極光、仏山照明、欧普照明、華芸灯飾照明などが代表格だ。当社が最大手で、市場シェアは約20%。オスラムが約10%で2位につける。これらのメーカーはそれぞれ得意分野を持っている。オスラムは電球事業に集中しており、特に自動車用で強みを発揮する。13年売上高は52億8900万ユーロ(約451億元)だった。一方、パナソニックはコンシューマー市場を重視しており、法人向け市場にはほとんど進出していない。中国勢では欧普照明がコンシューマー向け、雷士照明が法人向け市場で比較的強い。

市場競争は激しく、特にLED市場は参入ハードルが低く、小規模メーカーを中心に1万5000社以上が乱立する。そのため、上位10社の市場シェアは全体の半分ほどにとどまり、他産業のような大企業独占状態は見られない。

――フィリップスの販売状況を教えてください。どの分野が好調ですか。

 現在、当社の販売は一般家庭用と法人向けで約半分ずつだ。当社の家庭用製品事業で最大の市場は中国だ。同分野は13年に60%拡大し、LEDの販売は2倍以上に膨らんだ。特殊用途向けの中では電球が50%を占め、照明設備が40%、残りが自動車用及び半導体向けなどとなる。

 大口顧客は小売業の各社だ。アパレルショップ、レストランなど向けの照明が半数を占め、看板製品はスポットライト。それに次ぐのが、スーパーマーケットやショッピングセンター向け照明で、全体の約20%。上海のK11やiapmなど巨大モールの照明設備も我々が受注した。このほか、工場やホテル向け事業も行っている。

 ここ数年、公共工事における受注も増えている。北京国家体育場、上海万博、杭州の運河、杭州電視塔のほか、四川大地震で被災した地域の復興向けにも当社照明製品を提供している。(続)

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