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エコ意識が高まる中国の新エネ車事情(1)
大気汚染と優遇政策がEV市場を後押し
2014年12月11日

 目の前をスタイリッシュな車がすっ飛ばして行き、通行人の注目が集まる。ドライバーは40歳前後の男性で、シンプルなファッションからは洗練された印象を受ける。ここまでは現在の中国ではよく見られる光景だが、車の前方に目をやると一味違うことに気づく。大型液晶パネルを備えた独特のダッシュボードが近未来感とスマート感を醸し出す。そう、高級スポーツ電気自動車(EV)を投入する米テスラである。

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中国ではテスラを見かける機会も多い

 上海の街中でもテスラの車を見かけることがよくある。テスラは2013年に北京にショールームを開設して予約を開始し、14年に正式販売と相成った。二酸化炭素(CO2)の削減というエコ重視のコンセプトやクールなデザインは、「土豪(成金)」や「新富裕層」の注目を一身に浴びている。中国市場での14年販売台数は5000台を超え、世界販売の約3分の1を占める見通しという。

エントリーモデルは64.6万元、付属品などのオプションをつけると最終的に80万元以上になる。他ブランドの高級車と比べるとそれほど高くはないが、一般市民の手が届く価格でもない。14年4月に納入を開始した「MODEL S」は、まずは新浪網(SINA)の曹国偉CEOや自動車情報サイト「汽車之家」の李想総裁などのIT及びインターネットのトップに引き渡された。もちろん、「若手土豪」にとっても新鮮な“おもちゃ”である。ぜいたく禁止令の下、中国の富裕層はどのように富を誇示するべきかを模索しているが、スタイリッシュでエコを重視した輸入EVであるテスラがその一つの答えになりつつあるようだ。CO2削減というコンセプトに惹かれて購入した者ばかりではないが、その話題性は市民のEVに対する関心を高めるのに一役買った。(続)

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