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孤独な若者層の消費スタイルを探る(1)
経済発展の中での「負け組」世代とは?
2014年12月18日

 中国では「屌丝(ディアオスー)」と呼ばれる層への注目が集まっている。ネットの流行語にまでもなったこの言葉は、「モテない男性」「イケていない男」「臆病者」などのようなニュアンスを持つのだが、転じて「負け組の男性」を指すようにもなった。また、時には女性を含む場合もある。

 北京大学の研究センターがまとめた中国初の「屌丝生存現状報告」(2014年10月)によると、ディアオスーのとりあえずの定義としては「社会人」「貯金10万元以下」「家なし、もしくは自己資金で家を買えなかった」者を指す。同報告向けのアンケートには21万人余りが参加したが、そのうち62.2%が自分を屌丝と考えているという。
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食費を節約する若者世代もいる



 この層は、男性は21~25歳、女性は26~30歳が中心。彼らの平均給料は2917.7元である。北京の平均賃金5793元(13年)と比べるとかなり低い水準だ。1日3食で39元の出費に抑え、10元以下で節約するというツワモノも7.8%いた。また、半数の者が家賃500元以下のアパートに住んでいる。

 だが、考えてみると、20代前半の男性といえばまだ社会人になりたての世代。貯金10万元や家持ちというハードルはいささか高いような気もする。社会の「負け組」と称されるのも気の毒だ。それでも、経済成長が著しい中国では、キャッシュや不動産などの資産がモノを言うのだろう。少なくとも、将来を見据えて懸命に働き、貯金に励む者の方が好まれるようだ。

 もっとも、求職や就職もスムーズにはいかないようだ。全体の41%の者がインターネットで仕事を探しており、大部分が3年ごとに1回は転職するという。ステップアップと言えば聞こえはいいが、これでは安定した収入や昇進が見込めないかもしれない。ほぼ毎日残業をする者は21.7%になるが、そのうち6割は残業代未払いだ。職種別では、プログラマー、メディア関係、ウェイター・ウェイトレスでこの傾向が強い。日本で言うところの「ブラック企業」で働かざるを得ない状況なのだろうか。73.6%の者が家元から離れて暮らしているため、日々の生活のためには自分自身で稼がねばならず、多少の苦労や不公平は我慢しているのかもしれない。

 また、37.8%の者が心の病を患っていると答え、自分をうまく落ち着かせることができないようだ。睡眠やお酒で気を紛らわすことが多いようだが、それだけ生活上のストレスがたまっているとも言える。実に72.3%の者が「ハッピーではない暮らしをしている」と答えている。(続)

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