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ネット展開とモール化に活路を見出す銀泰商業(1)
40店舗展開の中堅チェーン
2015年1月16日

 銀泰商業(インタイム)は浙江省に拠点を置く中堅百貨店チェーンだ。1998年に第1号店(杭州武林店)をオープンし、2014年6月末時点で百貨店を30店舗、ショッピングセンターを10店舗、計40店舗を運営している。そのうち、半分以上の26店舗が浙江省内にあり、湖北省にも6店舗展開するほか、北京市、安徽省、河北省、陝西省などにも進出。いずれの店舗も繁華街に位置しており、顧客に快適なショッピング空間を提供している。
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ファッショナブルな女性アパレルブランド「just in time」


 上場企業の百貨店や商業施設チェーン各社を13年売上規模で比べると、「万達広場」を展開する大連万達商業地産が1456億元で断トツのトップ。以下、上場企業の公表数字(百貨店及び商業部門が主)から並べると、大商(333億元)、重慶百貨大楼(300億元)、上海豫園商場(222億元)、北京王府井百貨(195億元)と続く。銀泰商業は45億元なので、大手とは比べ物にならない。

 ただ、成長性は著しい。09年から13年までの5年間で、売上高は15.7億元から45.1億元に約3倍増となった。13年の前年比増収率は15.4%で、業界平均の8.3%を大きく上回っている。

 さて、インターネット通販が隆盛を極めるなか、小売店の業績は不調が続いている。杭州市貿易局によると、14年10月の国慶節連休中、同市にある主要10百貨店の売上高は前年同期比6.8%減少の4.35億元にとどまった。

 主要企業の業績も惨憺たるものだった。杭州百貨大楼を前身とする百大集団の14年1~6月期売上高は前年同期比23%減の5.28億元。杭州解百集団は同18.6%減の8.09億元だった。銀泰商業は同3.3%増とかろうじてプラス成長をキープしたが、最終利益はコスト増大などにより同30.7%減となった。

 衰退の傾向が否めない実店舗ビジネス。銀泰商業はこの傾向にいち早く気付き、自社ブランド戦略をスタートさせた。利益率の高いプライベートブランド(PB)を強化することで収益性を上げようという狙いである。

 同社は衣索服飾(3:00PM ESPRESSO)と組み、女性アパレルブランド「just in time」を立ち上げた。ヤングカジュアル路線で、ターゲットは18~25歳。単価は200~1000元程度と高からず安からずの範囲に設定した。08年からスタートしたこの試みは「中国百貨店で初の自社ブランド」ともてはやされ、同社以外の商業施設にも出店するなど一定の成功を収めた。

 だが、ネット通販に対抗するという目的が達成されたわけではない。銀泰商業が次に目をつけたのはネット業界そのものだった。(続)

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