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韓都衣舍から学ぶネット通販成功の極意とは(1)
顧客対応とモデル撮影の「本気度」に注目
2015年1月23日

 中国では毎年11月11日は「光棍節(独身節)」と呼ばれ、1年のうちでインターネット通販が最も盛り上がる日である。その理由は定かではないが、アリババ系の淘宝(タオバオ)が2009年に開始した「1111(双十一)購物節」という販促セールが大成功を収めたのがきっかけだ。その後、ネット通販各社がこぞって参入し、今日のような大規模セールまで発展した。

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ECではアパレル人気が高い



 14年のこのセール日、淘宝の取引額は571億1200万元超となり、13年に記録した350億1900万元から63%増加した。知人は、10月に入ると「今年の双十一では何を買おうか」とそわそわし始め、11月に入ると予約注文を入れ始める熱の入れようだった。11月11日当日は注文が殺到する過去の経緯を踏まえ、EC業者側も消費者側も事前に販売及び購入できるようになっているのだ。かくいう筆者もこの熱気に押され、深夜にかかわらず空気清浄器やクリスマスツリー、羽毛布団、果ては日用品に至るまでを買い漁ってしまった。中国ではこの日は、「刴手族(「買物中毒者」的な意味)」による1年に1度のお祭りといった位置付けだ。

 淘宝の取引額571億1200万元のうち、実に42.6%に当たる243億2900万元はスマートフォン(スマホ)やタブレットなど「無線端末」からの注文だった。モバイルショッピングとモバイル決済が中国のネット通販の主流になりつつあることが分かる。

 中国のネットユーザーは13年末時点で6億1800万人を数え、ネット普及率は45.5%に上る。モバイルネットユーザーは5億人だ。ACニールセンの最新レポートによると、モバイルネット通販のユーザーのうち80%がまずは製品情報をチェックし、77%が価格比較、55%がモバイル決済を利用するという。ネット購入製品のうちモバイル経由が40%超となるのは、アパレル、アクセサリー、靴・帽子、化粧品、パーソナルケア用品、マタニティ関連品などだ。

 同レポートによると、ネット通販のモバイルユーザーに使用理由を聞いたところ、82%の者が「時間や場所の制限を受けない」と答えている。いつでもどこでもショッピングができるというのは大きなポイントのようだ。このほか、「ネット通販の新たなトレンドだから」(37%)、「SNSとの連携でショッピング体験を共有できる」(35%)などの声もあった。一方でネガティブな意見としては、「スマホは画面が小さく、閲覧に不向き」(56%)、「パソコン(PC)操作の方が慣れている」(48%)、「ネット速度が遅い」(40%)、「支払いのセキュリティ面が心配」(38%)なども出ている。ただ、今やスマホ普及度は都市部では70%を超えており、大画面化も進んでいる。4Gネットワークも整備されており、モバイルネット通販市場のさらなる成長は誰もが見込んでいるところだろう。(続)

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