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品質で勝負、中国のベビー・マタニティ産業(3)
「一人っ子政策」緩和でも……、子供を産めないワケ
2015年2月3日

 中国では2014年から各地で「一人っ子政策」が緩和され始めた。これは「夫婦のどちらかが一人っ子の場合は2人目の出産を認める」というもので、各地方自治体で第2子の出産認可申請が行われている。1979年からスタートした一人っ子政策の結果、中国では13年末に60歳以上の人口が初めて2億人を突破して、人口全体の14.9%に上るなど、高齢化が急速に進んだ。このままでは今後の経済発展のスローダウンにつながる、という危機からの今回の政策緩和だったのだが、どうも思惑通りにはいかないようだ。
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経済的条件から第2子を望まない夫婦も増えている



 国家衛生与計画生育委員会によると、14年11月の時点で上述の条件下で第2市の出産申請を行った夫婦は約70万組だった。これは予想よりも70%も低い数字だったという。この背景には、制度開始から1年足らずで、地域によってはスタートがずれ込んだところもあり、そもそも出産申請が間に合わないという事情もある。また、第2子出産の条件を満たす夫婦の多くは都市部住民となるが、彼らの出産や子育てに対する考え方が変化していることも大きな理由として挙げられよう。自身のライフスタイルや仕事上のキャリア、子育て費用などを考えると、そう簡単には第2子の出産には踏み切れないようだ。

 中国青年報の調査によると、第2子出産の条件を満たす人(夫婦)のわずか24.9%しか出産申請を行っていないということだった。申請を行っていない理由としては、「子育てのコストが高すぎる」(58.1%)、「時間的コストがかかり過ぎる」(36.5%)、「子供は1人で十分」(32.3%)などが挙げられた。このほか「概念が変わった。そんなに子だくさんでなくてもいい」「住宅の条件に限度がある」「仕事の関係」「女性側の犠牲が大き過ぎる」などの意見も出ている。

 陝西省西安市に住むある女性は、すでに2歳になる息子をもうけているが、一人っ子政策が全面解禁されても第2子を産む考えは当面ないと言う。理由は簡単。子育ての負担が大き過ぎるからだ。費用としては、今のところは食事や衣服代で月1000元程度だが、幼稚園に行くようになると3000元ほど出費がかさむ。月に4000~5000元となると、世帯収入の半分ほどを占めてしまう。

江蘇省常州市に住み、1歳の女児を持つ女性も同じ考えだ。彼女は「今の子育てはとにかくお金がかかる」と嘆き、自分でも望んでいないのに「月光族(月給を全てその月で使い果たしてしまうこと)」になり果てているという。仕事上のプレッシャーもあり、とても第2子を産める状況ではないようだ。
特筆すべきは、「80後」「90後」の世代において、子供は1人でいいと考える者が同世代全体の56.3%に上ったということだ。調査対象者全体の47.3%を上回る。若者世代ほど、子供の数にはこだわらないという現実が浮き彫りになった形だ。(続)

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