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品質で勝負、中国のベビー・マタニティ産業(6)
高品質志向への対応急ぐユニ・チャーム
2015年2月9日

 中国のベビー・マタニティ産業には大手企業がこぞって参入し、市場競争が激しくなっている。日系など外資系企業の取り組みを中心に見てみる。

 中国市場で知名度が高い日系ブランドといえば真っ先にピジョンが挙げられるだろう。02年にピジョン上海を設立して育児用品の販売を開始し、08年には上海工場、11年には常州工場が操業を開始した。同社の14年2~10月期連結決算は、売上高が前年同期比6.3%増の611億6700万円だった。中国事業はこのうち166億3400万円で、前年同期比では11.8%増と全体の伸びを上回った。
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現地では「マミーポコ」の認知度が高いユニ・チャーム



 同社の戦略は、安易な値下げをせずにブランドイメージを高めること。富裕層をメインターゲットとし、哺乳びんや乳首などの製品力を訴求してきた。消費者はこれまで沿岸部が中心だったが、所得や生活水準の向上を背景にして内陸部までファンが広がってきたという。ベビー用品店の専用売り場「ピジョンコーナー」は2916拠点を数えるなど、地道な販売戦略も奏功している。

 ただ、鬼門となっているのは13年に進出した紙おむつ市場。売上高は当初計画の3分の1にとどまっており、パンパース、ユニ・チャーム、花王などの大手の牙城はまだまだ崩せていないようだ。

 ユニ・チャームは、おむつなどを中心とするベビーケア用品市場で中国シェア第2位(同社調べ)となっている。従来の自社製品と比較して4割近く安い価格の中間層向け紙オムツを発売し、大きな支持を得てきた。ただ、消費者層の構造的変化に伴い、高品質・高価格路線にも乗り出している。14年9月には「マミーポコ」の新商品を日本からの輸入品としてアリババ系の通販サイトやベビー用品専門店で販売開始。50枚入りで155元と高めの価格設定だが、独自の不織布加工・成型技術を活かして繊維素材を細かくし、新たな吸水シートの採用で着心地や肌触りを改善した史上最高品質の製品だという。これまでは消費者の高品質志向への対応が遅れてシェアを落とす傾向にあったが、14年に入って低価格品の店頭在庫を回収して高機能品に入れ替えるなど、製品ミックスの改善を大胆に行った。高級製品の売れ行きも好調のようで、14年4~9月期の中国の売上高は69%増の760億円に上ったもようだ。(続)

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