二桁台の高度経済成長から「新常態(ニューノーマル)」という中低速経済成長時代に突入した中国。これまでジョブホッピング(転職)を繰り返しながら倍々ゲームで給与を上昇させてきた優秀な中国ホワイトカラー層も、今後の急成長が見込めないビジネス環境ではより安定した職を求めるようになってきている。
福利厚生システムが変革中
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ベネフィット・ワン上海は2012年5月の設立。日本のベネフィット・ワン株式会社の100%独資だ。14年4月には北京にも営業事務所を開設した。弊社は主に「インセンティブカフェ」という従業員向け「福利厚生/インセンティブ」サービスを提供している。紅包(春節)や月餅(中秋節)を贈る代わりに、成績優秀な従業員に報酬としてポイントを付与し、その溜まったポイントに応じて商品やサービスが選べる福利厚生システムだ。同システムは1990年代にアメリカで「ポイントリワーズシステム」として先行して普及し、日本でも2000年くらいから徐々に浸透し始めた。弊社の日本本社はその先駆者的位置づけで、業界をリードしている。
日本では戦後から高度経済成長へと続く過程で、社員寮を完備し、社員旅行を企画、さらにはそうしたイベントや活動のための保養所も用意するなど終身雇用を前提とした「人生丸抱え」の福利厚生が一般的となった。ただ、90年前後のバブル崩壊後、時代の変化とともにそうした福利厚生制度を維持するのが難しくなった。特に90年代後半の山一証券や日本長期信用銀行などの経営破綻により大手金融機関に対して公的資金が注入されてから、従業員の給与水準や福利厚生の厚さがクローズアップされると、社会全体で福利厚生のあり方が見直された。
一方で、従業員の考え方も多様化するにつれ、社員旅行を好まない若年層や会社から与えられるのではなく自分で自由に選択できる福利厚生のコンセプトが受け入れられるようになった。そうした時代背景に押される形で、弊社の日本本社は1996年に設立され、2000年前後から業績が一気に伸びた。私は1999年入社で、ちょうどほぼ創業期から事業拡大を間近に体験した。(続)
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