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ネット上で盛り上がった“紅包大戦”(1)
春節の国民運動
2015年4月17日

 中国では春節(旧正月)の年越しに際して年長者が「紅包(ホンバオ)」というお年玉を配るのが伝統になっている。この紅包の様相が、今年2015年の春節時に一変した。一言でまとめると「微信で“紅包の奪い合い”に参加しないと落伍者になる」とでもいうものだ。

 中国語で「搶紅包」と称されるこの“イベント”は14年の春節にすでにスタートしていた。微信上の決済システムを経由して、ひも付された銀行口座などから 紅包を送る、もしくは口座に紅包を振り込むという、いわば「バーチャルお年玉」「オンライン紅包」だ。アリババ系の支払宝(アリペイ)や微博(ウェイ ボー)なども参戦し、15年の春節の“国民運動”と称されるムーブメントになった。形式的には、知人同士で「送り合う」タイプと、企業や有名人が大盤振る 舞いした紅包を「奪い合う」ものに分かれる。

 筆者の知人の多くもこの「搶紅包」に参加して多くのお年玉をゲットしたが、特に「90後(1990年代生まれ世代)」の間では大きな盛り上がりを見せた。この世代が誰よりも多くお年玉を稼いだのだ。友人の姪(20歳の大学生)は春節を前に、毎晩徹夜で微信の「朋友圏(モーメンツ=グループチャット機能)」を通じて紅包の奪い合い(送り合い)を行ったという。結果、1056.3元をゲットし、657元を送った。25歳の同僚は支払宝で239元(19件)をもらい、173元(11件)を送った。同時に、微信では799元(88件)をもらい、733元(74件)を送った。1万元以上の紅包を「稼いだ」という強者も少なくない。

 春節の大みそか1日だけで、微信経由での紅包の送り合いは10.1億件、QQ経由では6.37億件に上った。支払宝経由は2.4億件で、金額ベースでは40億元。微博では、1541万のユーザーが芸能人や大手企業が送った1.01億件の紅包を文字通り奪い合った。また、大みそかから正月5日までの6日間に統計範囲を広げると、微信で32.7億件、QQで11.6億件の紅包が飛び交ったという。(続)

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