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変化する越境ネット通販の最新動向とトレンド(1)
海淘の代表格は「天猫国際」
2015年6月11日

 会報誌2015年3月号では、向上する中国人の消費力と昨今の円安・人民元高に伴い急成長する越境ネット取引「海淘(ハイタオ)」について、その成長の背景や原動力となる法(税)整備の概要について解説した。日本でも「爆買い」ツアーに押し寄せる中国人観光客を目の当たりにし、業界内では“インバウンド祭り”と言われるほどの大ブームで、各社がいかにその需要を取り込むかの対策を練っているようだ。
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キリン堂の天猫国際店のトップページ


 そうしたリアル消費とともにネット上でのインバウンド需要も急拡大している。神戸のある貿易会社は、これまで混載だったものが、ついに単独でコンテナ1台分を輸送するほどの規模に成長。オーダー量も今後ますます増えることを予想しているが、おむつやナプキンなど需要が高いものについては仕入れが確保できないほどという。

 こうしたなか、いかにして中国からの越境ネット取引のためのウェブサイトを立ち上げ、運営していくかが喫緊の課題になっている日本企業も多いのではないだろうか。今回は海淘の主要なプラットフォームを紹介し、そのうえでどのようにスタートさせ運営していくべきかについて詳しく解説していきたい。

 まず海淘の代表格といえば、中国ネット通販の雄・アリババ系の「天猫国際(Tモール)」だろう。2014年2月17日に香港で開設。中国に法人を持たない海外の法人が天猫国際のプラットフォーム内に店舗を開設し、海外から直接中国の消費者向けに商品を販売できるようになった。すでに300を超えるブランドが店舗を開設済みで、天猫国際の営業マンによると、日本を含む海外からの出店依頼が急上昇中とのことである。

 天猫国際で採用している物流は2パターンある。(1)海外(日本)から注文者宛に直接海外配送直送するパターンと、(2)中国国内の保税区倉庫にあらかじめ売れ筋商品などを保管しておき、オーダーに応じて通関手続きを行ったうえで注文者宛に国内配送するパターンだ。保税区倉庫は天猫国際が提携する杭州、寧波、広州にあり、保管から通関手続き、国内配送に至る一連の作業は提携先の「CAINIAO菜鳥網路」に依頼することも可能だ。

 決済については、同じくアリババ系の支付宝(アリペイ)を活用する。中国人ユーザーは普段から慣れ親しんでいるアリペイ口座から海外店主のアリペイ口座へ人民元で支払いを行い、店主側には現地通貨に両替されたうえで入金される仕組みだ。

 天猫国際での開店までの流れと期間だが、まず店主側が出店商品を選定したうえで、天猫国際へそれらの商品マスターを提出する。この情報をもとに天猫国際からの認定を待つのに約10日間。次に海外用アリペイ口座を開設し、双方で出店契約を結ぶが、それに約20日間要する。その後、用意されたシステムに商品情報をアップし、店舗サイトのレイアウトをデザインすれば晴れてオープンとなる。全体的には約1~2カ月ほどの期間があれば十分だろう。(続)

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