中国消費洞察オンライン〜中国ビジネスをマーケティング視点から再構築!


浙江省と江蘇省の中堅都市の消費動向を探る(4)
金華(1)消費水準が高い浙江省の実力派都市
2015年6月30日

 浙江省にある金華市は、世界三大ハムの一つである「金華ハム」で有名だ。同省では杭州、寧波、温州に続く第4の都市圏。日用品の世界的な取引市場があり、中国の県級市で最も裕福とされる義烏市を傘下に置く。

 金華市の2014年のGDPは前年比8.38%増の3206億6400万元だった。浙江省では杭州、寧波、温州、紹興、台州、嘉興に次いで第7位の規模だ。中国全土では第53位に位置する。社会消費品小売総額は同13.2%増の1592億7000万元で省内第6位。ジョーンズラングラサールが12年にまとめた「中国新興都市50強」によると、金華市は当時、三線級都市の仲間入りをしたばかりだったが、「第一財経週刊」がまとめた14年の最新都市ランキングでは74の三線級都市の中で三亜、赣州、九江に次ぐ第4位に入った。ここ数年間での発展が目覚ましいことがうかがえる。

 金華市の代表的な商圏は、婺江を挟んで江北商圏と江南商圏の二つだ。14年にオープンした万達広場が中心の江東商圏も発展の兆しを見せている。

 最も賑やかなのは江北商圏だ。人民広場商圏とも呼ばれる同エリアは、三線級都市の中でも比較的規模が大きい。西市商業歩行街と、永盛購物広場、恒大百貨、第一百貨、銀泰城の四大商業施設がメインとなる。歩行街の両側には飲食施設やアパレル店が集中し、週末には多くの買物客が集まってくる。

 第一百貨はオープンから30年以上経つ金華市の老舗商業施設。江北店に加え、江南店、義烏店、東陽店を展開する。江北店は12年から店舗のグレードアップを進めており、エスティーローダー、ランコム、ビオテルム、クリニーク、ディオール、ロクシタン、シャネル、シスレーなどといった化粧品の世界的ブランドのほか、ロンジン、ヒューゴボス、コーチ、スワロフスキーなどのブランドも入居する、同市で最高クラスの商業施設。年商は8億元超だ。

 一方、95年開業の恒大百貨は小規模テナントがメインで、取扱商品も比較的安価な服飾品やバッグ、小物などが中心だ。周囲で商業施設の新設が相次いでいるため、その地位は低下気味。それでも、大衆消費という意味では、地方都市の「女人街」(廉価な商品が並ぶストリートマーケットのような雰囲気)に似たポジショニングで、客足も少なくない。

 銀泰城は同商圏で最大の商業施設だ。09年にオープンした銀泰百貨とショッピングセンターからなる同施設の建築面積は10万平方メートル超で、ポジショニングはミドル~ハイエンド。多くのレストラン、映画館、カラオケ、スーパーマーケットなどがテナント入居しており、顧客はファミリー層が中心だ。スターバックスの金華市第1号店は11年にここ銀泰城にオープンした。

 永盛購物広場は13年10月に開業。ユニクロ、H&M、ザラの三大ファストファッションブランドが揃う。顧客は若年層が中心だが、同市初のIMAXシアターがあり、多くのレストランもテナント入居していることからファミリー層も多い。ちなみに、銀泰城や永盛購物広場の映画館の入場料は比較的高く、欧米作品だと70~90元となる。ただ、ネット上で共同購入すると35~50元程度で、上海よりも30%ほどお得だ。また、両商業施設に出店するレストランは最新トレンドを行くものが多く、外婆家などは行列ができるほどの人気ぶり。銀泰城には若者に人気のシューズブランドのVANSがあるなど、金華市の消費水準が一定程度まで達していることが分かる。(続)

このページをA4版で印刷する
 前のページに戻る

pageTop