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低価格と高品質で勝負、台湾のcama café(2)
値段はスタバ以下、質はコンビニ以上
2015年7月24日

 台湾のテイクアウトコーヒー市場は3種類に分かれる。1杯100~140台湾元ほどのスタバに代表されるコーヒーチェーン、1杯50台湾元ほどのセブン―イレブンやファミリーマートに代表されるコンビニコーヒー、1杯30元ほどの朝食スタンドや飲料店のコーヒーの三つだ。店舗としてはスタバのほか、怡客咖啡(イカリコーヒー)、丹堤咖啡(ダンテコーヒー)、Mr.Brown、85度Cなどが有名だ。台湾財政部のまとめによると、台湾人は毎年、21.7億杯のコーヒーを嗜むとされ、1人当たり平均では94.3杯になる。コーヒー文化は相当程度浸透しており、コーヒー市場の競争は激しい。この市場環境の中、cama caféはいかにして成功を収めてきたのだろうか。
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小規模店舗が特徴


 まずは、ポジショニングの確立をしっかりと行ったことがポイントだ。創業者の何炳霖氏は元々、米国の大手総合広告代理店であるレオ・バーネット・ワールドワイドで勤務しており、一つのブランドが消費者にどのように受け入れられるかなどについて豊富な経験と深い洞察力を兼ね備えていた。彼はまず、ブランドポジショニングの明確化に注力し、その上で商品の方向性と進出先を考えていった。その過程で、コーヒーのメイン消費者であるサラリーマンやOLは、スタバはやや高く、コンビニは価格は手ごろだが味はイマイチという感想を抱いていることに気付いた。これをきっかけに、味は高級感を漂わせるものの低価格、つまり50~60台湾元程度のコーヒーが受け入れられると考えた。

 価格はコンビニコーヒーと同程度だが、質への要求とこだわりはコンビニのそれをはるかに上回る。コーヒーマシンはイタリアのラ・マルゾッコ製を採用するなどのこだわりようだ。狙い通り、「スタバのコーヒーほどにはお金はかけたくない。でも、品質はコンビニより上がいい」というサラリーマンやOL層から絶大な支持を集めた。「値段以上の価値がある」という言葉もよく聞く。店員の対応もきびきびとしていて、気持ちがいい。まさに「安くてうまい」コーヒーなのだ。(続)

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