新光三越
北京にある新光天地(2015年4月に北京SKPに名称変更)は、中国百貨店の中でトップの座に君臨する超大型店だ。2014年の売上高は69億元。11年から4年連続で中国No.1の百貨店である。
斬新な外観が人気の的
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新光天地はもともと、台湾の新光三越百貨と北京華聯集団の折半出資で06年3月に誕生した企業だ。資本金は7.5億元。07年4月19日に北京のビジネスエリア、CBD華貿商圏に中国第1号店をオープンした。営業エリアの面積は12万平米で、単体では中国最大規模。ハイエンド、ゴージャス、トレンドなどのキーワードを前面に出した。前述のシャネル、グッチ、プラダをはじめ、ダンヒル、ボッテガヴェネタなどのコンセプト店も進出。Fredやフォションは中国初、ミキモトやマークジェイコブスは北京初となる店舗を開設した。
新光天地が中国百貨店の中でも傑出した存在となりえたのには、地の利の把握、著名ブランドの誘致成功、洗練された経営モデル、きめ細やかなサービスなどさまざまな要素があるが、台湾の新光三越の経営陣によるところも大きい。
新光三越は台湾の百貨店業界の巨頭的存在だ。台湾の新光集団と日本の三越百貨店が1989年に合弁で設立した。13店舗、19館を展開中で、総面積は120万平米を誇る、台湾最大の百貨店だ。
この新光三越が北京の新光天地のオープンに際して、テナント募集、管理部門の研修などにおいて全面バックアップしてきた。北京側の経営陣が台湾に視察や研修に来ることもあった。オープン間近になると、台湾側が60人超の管理職スタッフを北京に派遣し、指導にもあたった。台湾の百貨店経営のカルチャーは日本からもたらされたものだが、台湾の商習慣に合わせた現地化を経ながら、一方で日本式経営管理の洗練さは失わず、中国の消費者に合わせるように微調整をしてきたのもポイントである。新光天地の成功の背景には、新光三越の経験があるのだ。(続)
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