2016年2月15日

中国からの訪日観光客が増えている

　「爆買い」――中国人旅行客の日本での旺盛な買い物の様子を形容するこの言葉は、2015年「新語・流行語大賞」にも選ばれた。日本列島を揺るがしたその光景は今年の日本を象徴するものとなった。そもそも「爆買い」とは、今年2月、中国の春節期間中たった7日間に45万人もの中国人旅行客が日本を訪れ、その消費額が1,125億円にも上ったことで生まれた言葉である。その後も中国が休みに入る度に「爆買い」現象は継続し、もはや日常化したと言っても過言ではない。

　統計によると、2015年1月から10月に日本を訪れた外国人旅行客は1,631.69万人。うち中国からの旅行客は最も多く428.37万人、昨年同期比約2倍の増加を示し、全体の約25％を占めた。これら中国人旅行客の多くはドラッグストア、家電量販店、大型スーパー、百貨店で大量の化粧品、医薬品等を購入し、その平均消費額は17万円を超えた。特に7月から9月の3ヶ月間、その平均支出は28万円(約14,870人民元)に達した。

免税対象商品の拡大は、中国人観光客による日本での「爆買い」の主な要因の一つ

　その最大の誘因は、ここ2年低迷する日本円レートだろう。現在5人民元が約100円に換算され、一般的な商品価格は実質的に35％程度中国より安い計算となる。さらに免税品の範囲が拡大されたことも人々の購買意欲を掻き立てている。多くの旅行客は自分のためのみならず親せきや友人、同僚に頼まれたものも買込み、1人の消費の背景には複数人の大きな消費マーケットが潜んでいる。これも爆買い現象をより顕著にさせた一因と言えるだろう。2015年の中国人旅行客は500万人に達する見込みで、彼らが食事や宿泊、移動、観光、買い物、及び遊びに投入する費用を1人当り1.5万元(約28万円)として推算すると、年間の消費額は750億人民元、日本円で1.5兆円にも達する。

　中国大陸のみならず、台湾からの旅行客も日本における「爆買い」に一役買っている。日本国土交通省のまとめによると、2015年10月までに日本を訪れた台湾人は311万人で中国、韓国に次ぐ第3位である。また2015年4月から6月の四半期において日本を訪れた台湾人の数は102万人、その消費額は1,470億円で、1位の中国の125.5万人、消費額3,581億円に次ぐ第2位であった。7月から9月においてもその消費は1,389億円で、1位の中国4,660億円に次いで第2位である。

　驚くべきことに、中国と台湾からの旅行客の消費を合わせると海外からの旅行客全体の消費の半分を超えている。なぜ彼らはここまで日本旅行を好むのか？日本で彼らは何を買っているのか？日本のどこが好きなのか？またどこで日本旅行や日本での買い物に関する情報を得ているのか？更に「爆買い」は今後いつまで続くのか？

　今回キャストコンサルティングでは中国及び台湾からの旅行客に対する詳細なヒアリング調査を実施した。対象者は初めて日本に行ったという人もいれば、すでに何度目かの達人、毎年2~3回は行くという「日本迷（ファン）」までと多様だ。彼らの観光・買い物の傾向、ニーズを調査することを通じ、将来的な日本の「インバウンド市場」における商機はどこにあるのかを考えてみたい。（続）

ヒアリング対象者のプロフィール

氏名/性別	年　　齢	地　　区	職業	婚　　姻	子　　女	月収 （人民元）	日本に行った回数 /行先
石さん 女性	35	中国	会社員	既婚	2歳	15,000	2回 東京ー箱根 大阪ー京都
朱さん 女性	34	中国	人事マネジャー	既婚	11歳	30,000	4回 東京ー大阪―京都・沖縄・北海道
姜さん 男性	34	中国	市場マネジャー	既婚	2歳	60,000	2回 東京 大阪ー京都
孫さん 女性	39	中国	自由業	離婚	10歳	10,000	5回 東京・福岡―長崎ー別府
李さん 女性	30	中国	財務	未婚	なし	10,000	1回 北海道
陳さん	28	中国	職員	既婚	1歳	5,000	1回 東京
孫さん 男性	31	中国	サービス業	既婚	1歳	5,000	1回 大阪―有馬ー鎌倉ー小田原―東京
蘇さん 男性	41	台湾	市場総監	既婚	1歳	30,000	15回以上  東京（定点）／東京—箱根／東京—軽井沢／東京—伊豆／京都—大阪—神戸／札幌—小樽—登別—函館／札幌—小樽—旭川—帯広／名古屋—高山
林さん 女性	42	台湾	記者	既婚	なし	20,000	毎年2回以上 東京（周辺）/大阪-京都（周辺）/九州
趙さん 女性	44	台湾	調達	未婚	なし	20,000	12回 東京/大阪

Copyright (C) CAST Consulting Co., Ltd. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.
本資料に関する著作権は弊社又は弊社に所属する作成者に属するものであり、本資料の無断引用、無断変更、転写又は複写は固くお断りいたします。