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中国消費市場:15年の総括と16年の動向予測(4)
ハイクオリティな高級品と利便性の高いコンビニエンスストアは人気
2016年3月28日

Ⅳ. ハイクオリティな高級品も人気に

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高品質製品に対するニーズも高まり続けている。消費者はより単価の高いハイエンド商品を好む。
  都市化が進み、消費者の収入及び消費レベルが上昇するのに伴い、消費は成熟傾向にあり、高品質の製品に対するニーズも高まり続けている。またモバイルの普及により製品に対する評価やコミュニティツール上の情報にアクセスしやすくなり、製品の品質や価値について速やかに知ることができる。この結果人々はより高品質、高級な生活用品を追求するようになっている。

  ニールセンの「2016年中国日用消費財予測報告」によると、2015年のトイレタリー製品の売上高は前年比7%増で、販売数量の1%増を大きく上回った。このデータから、消費者がより単価の高いハイエンド商品を好むようになってきていることがわかる。特にスキンケア市場においては、保湿や日焼け止め等のハイエンド商品が販売の主力となり、販売数量は前年比3%程度しか増えていないにも関わらず、売上高は13%の増加を示した。ニールセンは、2016年もハイエンド商品へのニーズはより高まると予想している。

  家庭向けの食品・飲料についても、ハイエンド・高品質のニーズが高まっている。「健康」や「安全」が商品選択の際の大きな要素となり、健康機能型飲料や純天然食品に対するニーズも伸び続けている。ニールセンのデータによると、15年の機能型飲料の売上は前年比7.6%、果汁は4.7%増加した。消費者はより健康的な生活を望み、食品の安全問題にも敏感だ。また新興中産階級においては、健康や安全を意識して高級品を選択する傾向が高まっている。今年もこの風潮は続くと予想され、例えばヨーグルト製品はナチュラル、健康的といったイメージの勢いを借りて二桁の成長が見込まれている。

Ⅴ.コンビニエンスストアが量販店を圧倒

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消費者は利便性を追求、実店舗においてもコンビニや小規模商店の人気が高まる。
  流通チャネル面では、利便性の追求が高まり、ネットショッピングの普及のほか、実店舗においてもコンビニエンスストアや小規模商店の人気が高まると予想される。ニールセンの「2016年中国日用消費財予測報告」によると、現在小規模商店やコンビニエンスストアチェーンでの消費が伸びており、大型商店やスーパーマーケットは減少傾向にある。

  2015年、日用消費財の売上の伸びに関するコンビニエンスストアの貢献度は9%に達した。コンビニエンスストアにおける家庭用清掃用品の売上は11%増加したのに対し、大型商店は4%減少した。食品、インスタントラーメンの売上もコンビニでは6%増加したが、大型商店では12%近く減少した。ニールセンによると、今年洗顔料の売上はコンビニエンスストアのみで14%も増加する見込みだ。

  今年も消費者の利便性に対するニーズは続き、その重要性は価格を上回る。食品、スナック、飲料といった一般にコンビニエンスストアが得意とする商品ばかりでなく、これまでスーパーの強みとされていた日用品までがコンビニで購入されるようになりつつある。ニールセンは、今年コンビニエンスストアにおける日用品の売上高は9.8%伸びると予測している。このトレンドは大型スーパーの出店戦略にも影響を与え、フランス系のスーパー「カルフール(家楽福)」は2014年に上海で初のコンビニ業態店「家楽福 Easy」を出店した。2015年末までに7店舗を開店し、今年は北京への進出も予定している。華潤万家も昨年末、広州でコンビニエンスストア「楽購(テスコ) express」をオープンし、18年までに518店に増やす計画という。(続)

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