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中国消費市場:15年の総括と16年の動向予測(9)
ネット通販の普及による実店舗の危機
2016年4月5日

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ネット通販の急速な発展の影響で実店舗の売上は大きな打撃を受けている
V. ネット通販の普及による実店舗の危機

  ネット通販の急速な発展の影で、実店舗の売上は大きく打撃を受けている。筆者の周りの80後、90後世代の友人の多くは食事と遊び以外の目的で実店舗に足を運ぶ習慣がほぼなく、買い物は全てネット上で完結しているといっても過言ではない。食事でさえ時には出前アプリによるケータリングで済ませてしまう。彼らに言わせると、ネットショッピングの方が便利で安く選択肢も多いため、実店舗に行く必要を感じないのだという。日用品なら一号店や天猫超市等で購入すれば価格もスーパーより安く、更に自宅に配送までしてもらえる。服や家電、電子機器を買うなら淘宝、天猫、京東でどのブランドも扱われており、価格も割安感がある。現在は物流も発達し、実店舗には何のメリットも感じられない。実店舗のここ数年の経営不振や閉店の危機は、すでに百貨店やスーパー、レストラン等の領域にまで及んでいる。

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中国の大手ネットスーパー「一号店」。日用品ならスーパーより安く、さらに自宅には配送までしてもらえる。
  百貨店の例を挙げると、中国市場参入から久しく、中国における外資系百貨店第一号でもあったマレーシア系「百盛(Parkson)」グループは衰退の一途を辿った一例だろう。2010年以前、百盛は中国国内でトップの売上を誇る外資系百貨店であり、ブランド進出の際のファーストチョイスであった。しかし2012年以降、北京東四環店や天津店を含む8店が閉店に追い込まれ、売上も3年連続で減少を続けている。

  またイトーヨーカ堂は成都で比較的成功を収めている一方、北京では低価格競争に巻き込まれ、特色を出せなかった影響もあり2015年、望京、西直門、北苑及び右安門の4店舗を閉店した。不動産大手の万達傘下の万達百貨も、経営不振を理由に寧波、青島、瀋陽、芙湖等を含む10店を閉店、無錫、厦門、烟台及び常州では売場面積縮小に踏み切った。スーパーでは、フランス系のカルフールが過去3年で30店、2015年だけで18店を閉店。ローカル系の人人楽超市も2014年に18店、2015年には更に15店を閉店した。実店舗の経営状況は非常に厳しい状況にあることが見て取れる。(続)

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