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大悦城(JOY CITY)が次世代の中国消費の指南役に (1)
コト(体験)消費の流れをいち早く捉えドラスチックに実行
2016年6月6日

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上海大悦城の観覧車は街の新しいランドマークに
  2015年12月、上海大悦城(JOY CITY)2期(新館)が正式に営業をスタートした。屋上に設置された観覧車は中国のショッピングセンターとしては初の試み。オープンするや否や、メディアや消費者から大きな注目を集めた。観覧車のロマンチックな演出も功を奏し、この新館は「魔都 愛情地標(上海の愛のランドマーク)」としてそのポジショニングを確立、上海の新しい流行発信基地として若者たちから大きな支持を得ている。

 8階に位置するアートフロア「摩坊166」は、ニューヨークSOHOのストリートアートの雰囲気をそのままショッピングセンターに再現している。様々なハンドメイド作品、テーマショップ、レストランやバーが入居。これまでのショッピングセンターにはなかった空間だ。人々をあっと言わせたこの上海大悦城2期の登場は、昨年、中国国内の小売業界における最もセンセーショナルな出来事の一つだったと言っても過言ではない。

 大悦城は中国の穀物・食用油の輸出入及び食品生産の最大手である中粮集団が運営・展開するショッピングセンターのブランド。現在北京西単大悦城、瀋陽大悦城、北京朝陽大悦城、上海大悦城、天津大悦城、成都大悦城、烟台大悦城の7店舗がすでにオープンし、更に杭州大悦城などが準備段階にある。14年の6店舗の時点ですでに100億元近く、平均で16.67億元を売り上げており、これは万達広場の平均売上高の約1.75倍にあたる。15年には、7つの大悦城の賃貸収入は17億元を超え、売上もさらに上昇した。なかでも北京西単大悦城の売上は40億元、朝陽大悦城は27億元、天津大悦城は26億元をそれぞれ超えた。今、中国で最も成功しているショッピングセンターブランドの一つと言えるだろう。

 統計によると、2012年から15年にかけて、中国国内のショッピングセンターは毎年300~400件のスピードで増加した。また2010年から15年で、その増加率は893%に達した。15年だけを見ても、全国で407の大・中型ショッピングセンターが開業(3万㎡以下の小型ショッピングセンター及び専門市場は含まない。含んだ場合はその総数は500を超える)、その内訳は華東地区183、華南地区51、西南地区43、華中地区38、東北地区34、華北地区32、西北地区26だった。

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充実した体験施設(写真はネット対戦ゲームの体験店舗)
 ショッピングセンターの速すぎる増加スピードに消費の伸びが追い付かず、テナント募集すら困難になるなど、ショッピングセンターは競争過多の状況に陥っている。これにネットショッピングの台頭が乗っかり、従来のままではお店に客を呼び、売上を伸ばすことが難しくなった。小売業はどこも「体験型」への転換を図り、飲食部門やキッズ関連、レジャー・娯楽施設の割合を増やしている。しかし、ブランド構成や空間設計がどこもコピーしたように似かより、大悦城のように消費者に新鮮な驚きを与えつつ、ゆっくり館内を楽しませることのできる施設は極めて稀だ。(続)

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