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中国モバイル決済の最新動向を徹底分析 (8)
生活に欠かせないモバイル決済
2016年11月1日

生活に欠かせないモバイル決済

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小型スーパーや零細商店も微信支付に対応
 一体モバイル決済はどれくらい日常生活に溶け込んでいるのだろうか。あるライフスタイル例を見てみよう。

張暁梅、30歳。
 筆者の自宅付近で夫と共に小さなネイルショップを経営している。14ヶ月になる長女と、4匹の猫がいる。ネイルショップは微信支付に加盟し、顧客の7割は微信支付で支払を行うという。自身も日々の支払のほとんどをモバイル決済で処理している。近所のスーパーや京東、一号店といったオンラインショップで食品や雑貨を購入する際も支払は全て微信支付で処理している。近所の小型スーパーのオフィシャルアカウントから商品を注文し、自宅まで配送してもらうこともある。支払は当然微信支付だ。

 おむつやキャットフードは淘宝で購入しているが、支払には支付宝を使用する。電話代、光熱費、水道料金も支付宝だ。食事は出前アプリを利用することが多く、これも支払はほとんど支付宝や微信支付を利用する。近所の麺屋やKFC、マクドナルド等ファーストフードチェーンでも支付宝や微信の利用が可能だ。更に支付宝を通した資産運用も行っている。通貨基金で約10万元を運用しているが、その利回りは年2.6%で、銀行の0.3%よりはるかに高い。

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中国モバイル決済では今後も続々と目新しいサービスと企画が目白押しで多様化が進むだろう
 現在の中国では、張女史のようにモバイル決済で日常のほぼ全てを解決している人が急増中だ。今後も更にモバイル決済を利用するシーンがますます増え、それとともに支付宝や微信の利用機会も間違いなく増えていくだろう。モバイル決済市場は今後も続々と目新しいサービスや企画が目白押しとなり、更なる多様化も進むだろう。またより独創的なO2Oの活用方法も編み出されるだろう。そうしたダイナミックな変化は、決済を超えてビッグデータやAI(人工知能)などの実用化を促し、新たな貨幣ネットワークを構築する可能性も秘めている。

 次々と新しい技術とアイデアを素早く商品化(インフラ化)するサプライ側と、そうした新しいモノ(コト)を何ら抵抗もなく受け入れ、普及させる消費者側が見事に絡みあう中国。モバイル決済の最先端をすでに行っていると言っても過言ではない中国が、今後グローバル・スタンダードを打ち出し、世界に向けてそれを広めていく先導役になるかもしれない。

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