2016年11月7日

新」「旧」で2つに分かれる太原商圏
老舗百貨店と小規模商店街がメインの「旧」柳巷商圏

 

昔からの建物が残る美食街は多くの客で賑わっている

　商圏としては新旧で大きく2つに分かれる。「旧」の方は、解放路を中心とした柳巷商業街周辺。現在解放路が地下鉄工事のために封鎖されており、客の流れが途切れて「テナント募集」の張り紙が貼られた空き物件も目立つが、柳巷は、太原で最も歴史が古く賑やかな商業エリアだ。すでに300年あまりに及ぶ歴史を有し、外地からの旅行客にとって「Must Go（必ず訪れる）」の場所。地元の若者たちにとっても人気のショッピングエリアだ。

　昔ながらの明、清朝時代の建物を摸して再現された太原食品街（歩行街）にはファッションやコスメ、雑貨、土産物を扱う商店が並んでいる。軽食（小吃）や飲み物を売る店も多く、旅行客や若者で大きな賑わいを見せていた。

太原で強い存在感を示す廉価男性アパレルブランドKM

　柳巷の「鍾楼」と「鼓楼」という2つのストリートは、小さな店舗が特に集中しているエリア。「三福（Sanfu）」や「以纯（Yichion）」といった低価格のファッションブランドが多く、上海や北京など一線級都市ではあまり目にすることのないデンマーク発の低価格男性アパレルブランドKM (Kilo & Meters)も、同一ストリート上に複数出店し、存在感を出している。また二線・三線級都市を中心に展開している「娇蘭佳人」などのコスメ販売店も数多く見られた。

　この他注目に値するのは、ここ数年人気を集めている生活雑貨系ブランドだろう。10元ショップのリーディングブランドである「名創優品（MINISO）」や韓国風が売りの「木槿生活（MUMUSO）」が太原の若者から大きな支持を集めており、いずれも多くの客でごった返していた。またこれら人気ブランドのロゴにそっくりの偽物10元ショップもあり、中国人の商魂に改めて驚かされた。

　こうした商店街のほかに、大型のショッピングセンターも点在している。主なものとしては華宇購物中心、貴都世紀広場、茂業百貨、銅羅湾国際購物中心、王府井城市奥特莱斯（OUTLET）など。若干距離があるが、北4kmのところにある万達広場も施設単体で一つの商圏になっている。

　貴都世紀広場と華宇購物中心は柳巷商圏で最も古い商業施設だ。オープンはそれぞれ1997年と1998年で、太原を代表する老舗のショッピングセンターだ。貴都世紀広場は中級路線。ファストファッションブランド「H&M」の太原進出第一号店が入居している。

華宇購物中心は地元の富裕層をターゲットとした柳巷商圏で歴史のある商業施設

　華宇購物中心は地元の華宇集団の経営、傘下には他に高級路線の華宇国際精品商場がある。華宇購物中心はやや高級路線で、コスメはディオール、エスティローダー、ドゥ・ラ・メール、SK-II等の国際一流ブランドの他、資生堂やファンケルなどの日系ブランドが軒並み出店している。アパレルブランドは中年男女向けの国内ブランドが主流だが、価格帯は概して高めで、地元の富裕層をターゲットとしていることが見て取れる。いずれもオープンから20年近くが経過し、設備面では古臭さが目立ち、集客もあまり芳しくないようだ。

　茂業百貨は08年開業。大衆的ブランドを中心に、特に婦人靴や若年女性向けのアパレルブランドが目立つ。銅羅湾国際購物中心は05年オープン。6万平方メートルの建築面積は柳巷のような旧商業エリアとしては極めて大きい。天井まで吹き抜けの中央広場では、各種イベントが頻繁に開催され、消費者の人気を集めている。筆者が訪れた際もボールプールが設置され、多くの家族連れで賑わっており、入場を待つ人の列でフロアがいっぱいになっていたほど。エンターテイメント業務にも力を入れており、山西省最大規模を誇る映画館では、14のシアタースクリーンを擁し、64の独立スピーカー出力と4D設備が完備されたシアターも備えている。

　王府井奥莱の前身は巴黎春天百貨(プランタン)。中国全体の不景気の影響を受けて王府井集団に売却され、15年に城市奥特莱斯（OUTLET）として新たに生まれ変わった。多数のブランドを低価格で提供するアウトレット業態を展開、シューズブランドのニューバランスが行った特売セールでは9日間で270万元の売上を記録、一般の百貨店をはるかに凌ぐ業績だった。

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