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NFC(非濃縮ストレート)果汁市場が急成長(1)
「天然」・「健康」求める中国消費トレンドの波に乗る
2016年11月11日

 

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NFCストレート果汁のパッケージはそれぞれ個性的で、ヘルシーな気分にさせてくれる
  最近、中国では新しいタイプの果汁飲料が相次いで登場。ファミリーマート(全家)やローソン(羅森)等のコンビニエンスストアだけでなく、シティスーパーやOle等の高級スーパーに置かれた冷蔵ショーケースの棚を広く占拠している光景を目にするようになった。これら果汁飲料は従来の製品とは異なり、パッケージもそれぞれ個性的。透明の容器の外から果汁の色や状態がはっきりと見えるタイプが多いのも特徴だ。

 色鮮やかに並ぶ果汁商品を目にすると、それだけでヘルシーな気分になるし、実際口にするとフレッシュな味わいで美味しい。しかし、それよりももっと驚くのは、その価格の高さだ。300ml前後の小瓶で16~20元、従来の果汁飲料の2~3倍以上も高い設定だ。にもかかわらず、ホワイトカラー層や若い母親たちがためらうことなく、こうした新タイプの果汁商品を手に取っていく。この新しい果汁飲料こそが、今人気を集めつつあるNFC (Not From Concentrate:非濃縮)ストレート果汁だ。(※以下、濃縮還元(FC)果汁との違いを区別するために、中国で一般的に使われている「NFC果汁」と表記する。

NFC果汁が飲料市場の新たな起爆力に

 

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果汁飲料は100%果汁、果汁濃度30%以上の中濃度果汁、果汁濃度5~10%の低濃度飲料に分類される
  中国の飲料製品は一般的に、以下の11の種類に分類される。つまり、1) 炭酸飲料、2) 果汁・野菜ジュース、3) プロテイン飲料、4) パック飲用水、5) 茶飲料、6) コーヒー飲料、7) 植物由来飲料(茶・珈琲を除く)、8) 風味飲料(炭酸もなく、果汁の含有量も少ないその他ジュース)、9) 特殊用途飲料、10) 固形飲料、11) その他。そのうち、パック飲用水及び茶飲料の市場シェアが最も大きく、果汁はそれらに続く。市場規模としては1000億元を突破している。

  果汁飲料は更に、1) 100%果汁(代表的ブランド:匯源、味全)、2) 果汁濃度30%以上の中濃度果汁(代表的ブランド匯源、農夫果園)、3) 果汁濃度5~10%の低濃度果汁飲料(コカ・コーラ社の「果粒橙」、康師傅、統一「鮮橙多」)に分かれている。
100%果汁は最もハイエンドな製品で、濃縮度合いでFC(濃縮還元)果汁とNFC果汁、また保存タイプとして常温と冷蔵に分類される。NFC果汁、即ち非濃縮のストレート果汁とは、新鮮な果実を洗浄してジュースにした後、瞬間殺菌プロセスを経て直接包装した飲料のこと。果物本来の新鮮な風味が特徴だが、品質保持期間が1ヶ月以内と短く、また必ず低温(0~4度)での管理を必要とする。

  これに対しFC果汁は濃縮果汁に水を加えて還元した後、加熱殺菌処理をしてから包装し、さらに包装の際も加熱によりパッケージと注ぎ口部分の殺菌処理を行っている。このため品質保持期間及び販売可能期間が1年と長いのが特徴だ。価格も安く、一般消費者向けと言っていい。一方、NFC果汁は価格が高めで、ターゲットは一部の高所得層に限られる。

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現在低濃度果汁飲料が市場の主流
  現在、市場は低濃度果汁飲料が圧倒的シェアを占めており、100%果汁のシェアは10%にも満たない。NFC果汁は更にそのわずか3%という低さで、市場はまだ初期段階だ。ACニールセンのデータによると、16年上半期、中国経済の低迷とともに降雨量の増加など天候の影響を受け、中国飲料業界全体の売上の伸びはわずか2%にとどまった。そんな中、100%果汁の売上は前年同期比で6.3%の伸びを示しており、市場のトレンドが炭酸飲料等から健康飲料へと移りつつあることを示した。消費者が健康をより重視するようになってきていることが、果汁飲料の売上増加に繋がっているといえる。

  一線・二線級都市の消費力の向上と大都市におけるコールドチェーン物流及び倉庫網の整備、さらにはEコマースチャネルの普及に伴い、NFC果汁が今後数年間は100%果汁市場の成長を先導する主役になると見込まれている。15年のNFC果汁の売上は5億元だったが、16年には12億元に達すると予想され、20年には120億元にまで成長すると予測されている。NFC果汁は果汁市場全体で、今、最も成長が期待されている分野だ。

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